第36話 嵐の前の静けさ
☆☆☆覚悟
それからしばらく間。山での生活を送り、自分史上最大の出来に仕上がった。新たな技も習得した。
家へ帰れば親父がいる。一週間くらい家を空けてた。小言の一言ぐらい言われるだろう。
それが決闘の開始だ。とりあえず京都にも連絡を入れておこう。今日がその時だと……
しかし、緊張する。俺が負ければ……フラれる……もう一度のチャンスはもう来ないかもしれないんだ……
だからこそ、絶対に親父を倒す必要がある。
俺はやる……やるぞ……親父を倒して京都と付き合うんだ!
〇〇〇戦いの前
悶々とした日々が続く中で、先輩からの連絡があったっす。
『今日。親父を倒す。変な言い訳されたくないから直接見ていてほしい。京都が好きだ。だから俺は絶対に負けない』
メッセージでも私を好きって……
本当に先輩私のこと好きなんすね……
「うへへへ~せんぱい……せ~んぱぁい……」
一人なのをいいことにテンションが上がってきたっす。
もし虎徹さんを倒したら……ほんとに私先輩と付き合っちゃうんすよね。
でも、付き合ったらどうなっちゃうんすかね……
……全然想像できないっす。今までと変わらない気がするんすけど……
一緒に遊んだりご飯食べたり頭撫でられたり……
先輩としたいこと、別に付き合わなくてもできると思うんす。
でも、素直に先輩から好きって言われたことは凄く嬉しくて……
「あぁぁぁ~~~どうしよう~~~~どうしようっす~~~~」
私だってそれは……先輩のこと……いや、でも、確かに仲のいい異性と言えば先輩しかいないんすけど。
先輩強くてかっこいいし、顔だって悪くないっすし、逆にモテないのが謎なくらいでしたし……
確かに纏っている気のようなものが、一般人のそれじゃないっすけど……
それを本能的に皆さんが恐れている所はありまっすね。
歴戦の猛者のオーラ纏ってれば近づき辛い感じがあるっすし……
あ~~~どうしようどうしようどうしよう……
ここ数日ずっと先輩のことしか考えていない。
宮藤さんにこのことを相談しようと思ったけど、宮藤さんは先輩に好意を抱いているみたいっすし……
あぁ……どうしようどうしようどうしよう……
先輩。虎徹さんと戦うって……確かに先輩のことは信じてるっすけど、
虎徹さんだって尋常じゃない強さを持っているっす。
つまり、最強と最強の戦い……興味がないと言えば嘘になるっすけど……
でも、その二人が戦うってことは互いが無事で済まないことを意味するっす。
緊張しながらも私は先輩の家の道場へ向かいましたっす。
道場へ着くと……圧倒的オーラを放つ先輩を見かけたっす。
「あ、せんぱい……」
「京都か……メッセージ見てくれたから来たんだよな」
先輩は凄く落ち着いているっす。これから戦う相手のことを考えれば緊張で死にそうな気もするっすのに……
「はいっす……」
「あの時の約束。忘れてないよな……もしクソ親父に勝ったら。付き合ってくれるんだよな」
「そ、そこまでして、先輩は私と付き合いたいんすか……?」
「あぁ、修行中もずっと京都のことばっか考えていた」
「……せんぱい」
「もしかして、俺と付き合うの嫌だったりするのか……?」
そ、そんな捨てられた子犬のような顔しないでくださいっすよ……
「い、嫌なわけじゃないっす。でも……その、私恋愛とか分からなくて……」
「大丈夫だ。俺も分かってないから一緒だ。でも、きっと京都と付き合えれば楽しいって思うんだ。それに俺が京都が好きって気持ちは本物だから……京都……好きだぞ」
「だ、だからー! 告白しないでくださいっす……先輩かっこいいから……ついOKしちゃいそうになるっすよぉ……」
嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい……
「確かに不安はあるかもしれない。俺だって付き合うのが初めてだから、でも絶対京都を悲しませることはしない……いや、全力で京都と楽しみたいんだ。これから先のも……」
先輩……そんなに私と一緒に居たいんすね……嬉しい嬉しい……
「……ぁぁぁぁぁぁぁぁあ! 分かったっす! 付き合うっすからもうそういうのやめてくださいっす! ほんっと恥ずかしいんすからぁぁぁぁ!」
「……その言葉が聞けたなら、俺は負けない。絶対……」
それだけ言うと先輩のオーラがさらに強く引き締まった。
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