第54話 時代が変わった週の明け

国鉄の特急電車が走り去った翌週が始まった。

まずは、プリキュア。

その後、移動して早めに退却。


パソコンの電源コードを忘れてしまったことで、

ある意味、あの頃を思い出せたことは収穫だった。

パソコンや情報に振り回されない。時間に追われない。

それが如何に幸せだったか。ぬるま湯だったかもしれないが。

あの頃は、そんなぼちぼちいい加減にやっていても通用した。

今より情報量が少なかったことも幸いしたといえばそうか。

しかしその分、人同士の接触度は濃密ではあったことは確かである。


私はそんな時代を嫌い、前へ、前へと駒を進めた。

前時代の遺物を、くだらん郷愁論と切り捨てさえもした。

情緒論を述べる者らを、バサリバサリと切捨てまくって前進した。


だが、捨てきれなかったものもないわけではない。

それが、あの国鉄だったのである。

その象徴が、特急電車やブルートレイン、そして国鉄型車両。

かの車両たちは、ある意味私にとって保護者であり庇護者でもあった。

その車両が先週、自らのもとを去っていったのである。

このたびの「やくも」の新車置換は、

私にとって真の親離れのときだったのかもしれない。


ラストランを終えて最初の週明けを迎え、

私は、電源コードのないパソコンを前に、そんなことに気付かされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る