第20話 甲子園の雷雨の正体

2024年4月16日夜


甲子園球場では、阪神対巨人4回戦。

今年初の甲子園対巨人戦の日である。


39年前のこの日も、そうだった。

阪神対巨人1回戦。

しかも、甲子園開幕ゲームだった。

劣勢から、巨人遊撃手河埜の落球に勢いついた阪神が快勝。

翌4月17日は、あの伝説のバックスクリーン3連発!


伝説となったその日から21年後。

或作家の父親が自死した。

そういう日と知ってか知らずかは、今となっては確かめようもない。


その日からさらに18年後。

あの伝説の日から39年後。

この日もまた、甲子園で大珍事が起きた。


1対1で迎えた9回裏終了後。

突如、雷雨が甲子園球場を襲った。

審判団は協議のうえ、9回裏終了とともにゲームセットを宣告。

この試合、引分けとなった。


39年前のような快勝とはいかなかった阪神。

だが、このようなコールドゲームは珍しい。

何かが起きそうな予感さえするのは、気のせいかもしれないが。


或作家の父親は、生前、雨男であったという。

それがなぜか、結婚式の日は快晴だったとか。

その元夫婦から生まれた息子が、或作家。

息子のほうは、むしろ晴れ男かもしれない。


その息子は、ネット速報でその日の試合の流れを知った。

同点にも関わらず、9回裏で試合終了。

延長になぜ入らないのか?

その答えは、程なく配信されたニュースで知ることとなった。


甲子園球場に、強烈な雷雨が到来した。

雷も絶賛光とどろく大雨の中、試合は不能となった。


39年前のようなラッキーな話ではないかもしれない。

しかし、或作家をして何かを感じさせるには十二分であった。

そして、今日はいよいよ、あの日から39年後のちょうどその日。

今日もまた、甲子園球場で巨人戦が行われる。


何かが起こりそうな予感がするのは、或作家だけだろうか?

そして、あの雷雨の正体は、いったい、何だったのだろうか?


その正体、この夜には判明するであろう。

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