第12話 絶頂から永遠へ。46年後のこの日に思う。

あの日から、46年。

あの日あの時、あの場所の熱狂は、とっくに去って久しい。

しかも、あの熱狂の元となった3人のうちのひとりは、

すでにこの世を去って久しい。


私はあの日、あの場所には行かなかった。

行ける由もなかった。

しかし、それは社会現象にさえなっていた。


一番いいときに、何かをやめる。


それはいかに難しいことか。

調子が悪くなって、なりかけて、やめるのならわかる。

人がいなくなってやめるのは、良かれ悪しかれ仕方ない。

だが、絶頂を迎えたときにやめる勇気は、

半端ないものがあっただろう。

しかし、それをやり遂げた彼女たちだからこそ、

それより半世紀近く前のアメリカのジャズバンドのように、

永遠を勝ち取れたのではないだろうか。

彼女たちは、幸せだった。

望んで、それをかなえたのだから。


だが、望まずしてそのような状況になる人も、いないではない。

かのジャズバンドの主も、そうだった。


あのとき後楽園球場に行けなかった少年は、後に、

あるミュージカルの千秋楽に行った。神戸の劇場だった。

それは、主役の女性の最期の公演。


何かを感じていたわけでは、ない。

あのジャズバンドの主の映画のラストシーンが、

ふと、彼の脳裏をかすめたのであろう。

彼が何かを感じて叫んだなら、それは確かに当たっていた。


~ は、永遠だぁ~!


その後不幸にも、彼女は若さ絶頂の折にも病を得た。

そして不幸にも、夭逝してしまったのである。

しかし、彼女があのミュージカルで活躍したことは、

グレン・ミラーのように、

キャンディーズのように、

世の記録と記憶に、残されていく。


彼女の魂に幸あれ

セーラームーンミュージカル 3代目セーラームーン役

神戸みゆき 享年24(満年齢)

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