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咲が話をしなくなって少しして仁くんは咲が泣いていることに気がついた。
「どんな未来でも変えることができるって思ってたんだ。自分の力でみんなを幸せにできるとそう思ってた。ずっとうまくいくって思ってた。きっとばちが当たったんだと思う」泣きながら咲が言った。
「占いの結果は咲のせいじゃないだろ?」
「わからない。もしかしたら運命を変えることは本当はとてもいけないことなのかもしれない。今こうして私と仁くんが本当は立ち会ってはいけないはいらずの森にこっそりと入り込んでいるように、本当は占いなんかしちゃいけないのかもしれない。未来を変えたりしてはいけないのかもしれない」
「子供のころからの人助けのつけが今こうして何倍にもなって自分や自分の周囲の人たちに返ってきたって、そう思っているのか?」
「うん」咲は素直にうなずいた。
「咲は馬鹿だな」仁くんは言う。
「馬鹿じゃないもん」
「なあ、咲。もしかりに過去に戻ってやり直せるとしてさ、咲は今まで助けてきた人たちのこと、放っておくことができるのか? できないだろ?」
「できない」咲はすぐにそう言った。
「そうだよな。それでこそ俺の知ってる春原咲だよ。お前はかっこいいやつだよ。子供のころからずっとかっこよかった。今回の占いは咲のせいじゃないよ。むしろ俺は『咲の占いの力はこの日のために』あったんじゃないかってそう思ってるよ」と仁くんは言った。
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