第34話: 『母性+1』の積み重ね
一般的にはあまり知られていない話だが、千賀子の前世……つまり、現代において、ヤクザという身分は人々が思っている以上に堅苦しいモノになっている。
それはしきたりだとか伝統だとか、そんな理由ではない。
単純に、現代においてヤクザは、自らをヤクザであることをアピールしてはならないし、名乗っても駄目なのだ。
なんでなのかって、それは後の世に作られ、暴力団対策法……通称、『暴対法』と呼ばれる法律の影響である。
その内容は多岐に渡るが、その中でも、『暴力団(あるいは、その関係者)であることを臭わせる』ことの他に、特に広範囲に関係するのが、だ。
一つ、口止め料を要求する行為。
一つ、寄付金や賛助金(さんじょきん)などを要求する行為。
一つ、挨拶料、みかじめ料などを要求する行為。
一つ、日常品購入の強要、用心棒料などを要求する行為。
一つ、一つ、一つ……全部で27の行為があり、だいたいの人が想像するヤクザの行為はほぼほぼ該当するぐらいに幅が広い。
そして、『暴対法』というのは非常に強力である。
どんな理由であろうとも、ヤクザがヤクザであると名乗った時点で警察が動くし、関係者にヤクザが居る事を臭わせた時点で警察が動く。
ゆえに、現代では暴力団が表に出てくるようなことはほぼなく、その子飼いである『反グレ』と呼ばれる集団が代わりに動いているのだが……話が逸れたので、戻そう。
「……喉が乾いたな。嬢ちゃん、店長を呼ぶ前に、なんか作ってくれや」
1人は呼べと言い、1人は先にジュースを作れと言う。
相反する二人の要求だが、2人の風貌は共通しており、2人から放たれている空気もまた、共通していた。
そう、2人は明らかにヤクザである。
どうしてそれが分かるのかって、昭和のこの頃は、ヤクザがヤクザであることをアピールするのは当然であり、現代よりもはるかに分かりやすいのだ。
その代表的かつ具体的な特徴……というのも変な話だが、現代で言えばタトゥー、昔の言い回しだと、『入れ墨(刺青(いれすみ))』だろうか。
現代ではヤクザである事を隠すために入れ墨をしていないヤクザは多いし、むしろ、時代遅れとして入れないのが当然と考えている者もいるだろう。
しかし、昭和のこの頃は違う。
この頃はまだ、暴力団全盛期。むしろヤクザは揉め事が起こって必要があれば、どこか自慢げに見せびらかす者すら居たらしい。
なにせ、この頃のヤクザにとって、入れ墨というのはある種のトロフィーであり、ステータスであり、(ヤクザという意味で)一人前の証みたいなものなのだから。
それゆえに、この頃のヤクザは色々とヤクザになるまでのルートはあるが、仲間として正式に認められたとしても、そのうえで入れ墨を入れてようやく……というのが多かった。
……まあ、ちなみに、だ。
ヤクザが身体に入れ墨を入れるようになった理由は諸説あるが、入れ墨というのは基本的に、施術の際にはかなり強い痛みを伴う。
どれほどに痛むのかは、あまりの痛みに耐えかねてヤクザですら途中で止める者が出たり、比較的痛みが軽い腕などに留めたりといった者が出るぐらい……と言えば、想像しやすいだろうか。
そのうえ、術後も傷が塞がるまで苦痛が終わらないばかりか、入れ墨は大きさや絵柄や場所によって、かなり費用が掛かってしまうのだ。
いわゆる、ヤクザを取り扱った映画や漫画では御馴染みの、背中一面の入れ墨……そういうのを彫ろうとすると、現代基準でおおよそ数百万。
さらに、感染症などに気を付けなければならないので、長期に渡って休職を余儀なくされるという、時間の負担も強いられ……話を戻そう。
(は~……すげえ、タトゥーじゃなくて、和彫りの入れ墨なんてナマで見たの初めてだ……)
千賀子だけでなく、店内に居た客の誰もが男たちの正体に気付けたのは、その入れ墨のおかげである。
隠しているのか、隠すつもりがないのか、袖の端や胸元からチラチラと見えている。ぶっちゃけ、強面よりよほど注意が引き寄せられる。
おそらく、彼らなりの美学であり、威圧のやり方なのだろう。
その証拠に、その男たちの登場に、店内の空気がにわかに張り詰め──る、ことはなかった。
「店長は私だけど、なにか御用?」
何故なら、千賀子は平然としていたからだ。
虚勢を張るわけでもなく、身構えるわけでもなく、まるで顔見知りに話しかけられたかのような自然体。
ヤクザが、怖くないのか……そんなの、怖いに決まっている。
しかし、いざとなれば千賀子は逃げ出せる。その安心が、千賀子の身体から不安や恐怖といった縛りを無効化させていた。
それはある種の力となり、腰が引け掛けた客たちも思わず動きを止めて呆けてしまい……交互に千賀子と男たちを見てしまうぐらいに、空気は変わらなかった。
「……お嬢ちゃんが?」
それは、男たちにとっても非常に意外な事だったのだろう。
だから、どこか睨みつけていたその目は開かれ、呆気に取られた様子であった。
もしも、千賀子が怯えた素振りを見せたり、あるいは敵意を滲ませたり、無駄に跳ね返りな態度を取っていたら、男たちの対応は変わっていた。
そのどちらでもなく、自然体がゆえに……出鼻をくじかれる形となった2人は、思わずといった様子で互いに目配せし合い……改めてといわんばかりに──。
「そんなところで突っ立っていないで、こっちに来なさいな」
──話しかけようとしたのだが、出来なかった。
言われるがまま、2人はカウンター前に来る。その際、2人の隣に居る形になった客が、堪らずといった様子で距離を取った。
「怖がらせるような恰好をしているからでしょ」
瞬間──2人の男が周囲を睨みつけるよりも前に、千賀子の方から苦笑交じりの忠告が入った。
「で、何を飲むの? ツケは駄目、現金一括前払いよ」
反射的に、2人は千賀子を睨む──が、やはりというか、欠片も気にした様子がなく……毒気が抜かれた2人は、とりあえず……といった様子で、リンゴジュースを頼んだ。
なんというか……これで、せめて相手が普通の女だったならば持ち直せていたのだろうが、今回ばかりは相手が悪かった。
職業柄色々な女を見て来た二人から見ても──千賀子は、あまりに美し過ぎたのだ。
夜の女のように化粧をしているわけでもないし、男に慣れて甘える態度でもなければ、傍若無人と言わんばかりの可愛げのない態度でもなく、かといって、田舎娘のような雰囲気でもない。
単純に、見た目の造形だけでは説明が出来ない。
そう、オーラとも呼べるナニカを前に、2人は強面の見た目とは裏腹に、その暴力性を上手く発揮出来なかった。
……どうにも、気が削がれるというか。
俺たち何をやってんだと顔を見合わせる2人を他所に、「はい、どうぞ」千賀子は気にした様子もなく、2人の前に水滴の浮いたグラスが置かれ……からん、とジュースの中の氷が音を立てた。
「……美味いな、これ」
「そう? 喜んでもらえて嬉しいわ」
「お世辞じゃねえ、本当に美味いぞ、これ」
払った金は既にカウンターの中、眼前のジュースを鼻先に近付ければ、濃厚なリンゴの匂いがする……我慢出来ず一口飲めば、そのまま二口三口と止められないぐらいに、美味かった。
「なんてったって、女神様からの贈り物だしね」
「は?」
「ん~、こっちの話。おかわりいる? それとも、別のやつ?」
「ああ~……じゃあ、このミックスジュースってのは、なんなんだ?」
「色々な果物をジューサーで混ぜたやつ。ジュースって名が付いてはいるけど、食感としては……フルーツの冷たい汁物、みたいな感じ?」
「へえ……どんな物を混ぜているんだ?」
興味を惹かれたのか、1人が尋ねてくる。
ちなみに、もう1人の方は、ゆっくり噛み締めるようにジュースを飲んでいた。
「その時によって違うけど、基本的にはオレンジあるいはミカン、パイナップル、バナナの三つかな」
「はあ!? バナナにパイナップルぅ!?」
「だから、ちょっと高いよ」
「ちょ、ちょっと!? これで!? この値段でか!?」
尋ねられたので答えたら、男は目をまん丸に見開いた。心底驚いたのが傍目にも分かり、それはもう一人の男も同様であった。
いったいどうして……それはまあ、毎度の事ながら、当時の値段から考えたら、ありえないぐらいに安いから、である。
(……やっぱり、ちょっと安くし過ぎたのかな?)
内心にて、やっちまったなあ……と思いながらも、すっかり手慣れた千賀子は黙々とミックスジュースを作る。
まあ、今さらな話だけれども、残念ながら千賀子はそれを知らなかった……というより、考えが甘かった。
と、いうのも、だ。
まず、前提として、この頃(1964年)はまだ、パイナップルもバナナも高級品であり、特別な時にしか食べられない代物だった。
そして、千賀子はパイナップルやバナナが高級品であることは知っていたが、それは、ただ単に高級品という認識しかなかった。
ただ、そこらへんを千賀子が詳しく知らないのも……まあ、仕方がないことではある。
と、いうのも、だ。
けっこう忘れられがちな話だが、千賀子はその美貌から異性の注意を引き付けるようになってから、非常に窮屈な日常を送っていた。
けっこうアクティブに動いているように見えるけれども、その範囲は極めて狭い。明美との付き合いも、表面上は無いように見せているから、余計に。
──前世の知識があるので分かり難いが、言うなれば今の千賀子は、ある種の箱入り娘みたいなものなのだ。
千賀子が1人での外出が許可されるまでは、自宅と学校とを往復するぐらいで、寄り道すら一度もしなかったのだから、如何に感覚がズレてしまうかが窺い知れるだろう。
それに加えて、千賀子は、そういった方面の知識を入れる機会にこれまで恵まれなかった。
というのも、『秋山商店』で置ける商品というのは、基本的に雑貨品であり、食品もインスタントラーメンやコーヒーなどのお手頃に限定され、常温で長期間置いておけるものに限られている。
いちおう冷蔵庫は置かれているが、それはラムネやプラッシーと呼ばれる瓶ジュースが入っているぐらいで、高価なジュースや果物の類は販売していなかった。
そして、果物といえば八百屋ぐらいでしか見掛けないし、千賀子自身が母と一緒に八百屋へ行ったのは小学生の時が最後。しかも、旬の時期の果物しか出てこない。
基本的にテレビを見ない(家族に譲るので)せいで、余計に千賀子はその時の感覚……そう、前世の感覚で考えてしまう部分があり。
──缶詰を前よりも見掛けるようになったし、けっこう東京では手に入るようになっているんじゃないかな?
という、なんともあやふやな想像、ズレた認識のまま、値段を設定したわけである。
「──そんな事より、何か用があって来たんじゃないの?」
そして、そういう拙い部分を含めて指摘されても答えられないのが分かっている千賀子は、あえて自分から話を振った。
「あ~……そうだな、お嬢ちゃんが店長なら、お嬢ちゃんに話をするのがスジだな」
男たちも、本来の目的を思い出したのか……と、同時に、いまさら脅すような真似をしたところで、もうそのような空気にならないと分かっているのだろう。
本当に今更ながら、居住まいを正し……改めて、といった感じで話を切り出した。
……で、男たちの用件というか、言い分を簡単にまとめると、だ。
「──つまり、貴方達ヤクザから嫌がらせを受けたくなかったら、ショバ代(業界用語で場所代のこと)を払えってことね」
「おいおい違うぜお嬢ちゃん。俺たちは、守ってやる代わりにって言ってんだぞ」
「払わなかったら貴方達が他所にここの情報を漏らすのだから、守ってやるも何もないでしょうに……」
「へえ、どうしてそう思うんだい?」
「こんな小さな場所の一つや二つで小競り合いになるより、裏で共謀して分け合えば楽でしょ、お互いに」
「……そりゃあそうだが、俺たちヤクザはメンツってものがあるんだぜ」
「暴力で掻き集めた金で固めたメンツなんだから、金が関わればいくらでも形を変えるでしょ」
「はは、言うねえ、お嬢ちゃん。それじゃあ、その度胸の強さは、サツ(警察のこと)にでも駆け込むからかい?」
「そんなの時間の無駄よ。今は東も西も来月に控えたオリンピックにしか目が行っていないから、こんな小娘が1人助けを求めたって、適当な理由を付けて追い返されるだけね」
「……それにしちゃあ、ずいぶんと落ち着いているように見えるが?」
「そりゃあ、何時でも逃げられる奥の手があるし、最悪の手段もあるから」
とまあ、そんな感じであった。
つまり、ここら一帯は彼らの縄張りみたいなもので、色々と他のヤクザにちょっかいを出されたくなければ、ボディガード代として金を払え……ということである。
もちろん、男たちの言い分に、法的な根拠は一切無い。
ただ、勝手に縄張りを作って、勝手に争いを始めて、勝手に利用料を要求しているだけであり。
1から10まで、ヤクザたちが勝手に始めていることなのに。
勝手に始めたヤクザ達の争いのとばっちりに巻き込まれたくなければ、金を払えっていう話である。
「……貴方達、もしかして上の人?」
千賀子が天井を指差せば、男たちは曖昧に笑うばかりで答えはしなかった……ので、千賀子は察した。
……おそらく、表向きは全く別に見せかけて、裏では繋がっている(というか、普通に上の人)、といった感じなのだろう。
このビルの権利がどのようになっているかは知らないが、たぶん……考えても仕方がない、か。
「……まあ、いちいち嫌がらせされたら堪らないし、払えって言うなら払うわよ」
とりあえず、それが分かっていても、千賀子は払う選択をした。
理由は、単純に面倒事を嫌っただけだから。
こういう問題が厄介なのは、ヤクザだけではない。
既にヤクザへショバ代を払っている者たちが、ヤクザたちに協力する場合があるからだ。
どうしてか──ひとえに、嫉妬である。
自分たちは払っているのに、どうしてアイツだけ。
そういう嫉妬心は、ある意味ヤクザたちより性質が悪く、最悪は率先して陥れることも……ゆえに、だ。
「ただ、店を始めたばっかでお金が無いし、最低限、先にスジを通さなければならない相手に支払った分の残りになるわよ」
「それは、いくらだ?」
「さあ? 儲かるのは嬉しいけど、この店自体が、ある種の実験というか、思いつきみたいなモノだし……そうね、しばらくはこっちで我慢してちょうだい」
その言葉と共に、カウンターの陰に隠れて置いてある箱を、ドカンと二人の眼前に置いた。
その箱には、果物が入っていた。
みかん、オレンジ、メロン、パイナップル、桃、りんご、梨、ブドウ……現代でも揃えるのが難しい生の果物の登場に、男たちは……互いに顔を見合わせ、苦笑した。
「……俺もまあそれなりにこの世界でやってきたが、果物で支払おうとするやつは初めて見たぞ」
「米もあるわよ」
「いや、そういう問題じゃねえよ」
「肉もあるわよ」
「いや、だからそうじゃねえって」
「野菜もあるわよ」
「いや、だからよ」
「なに? 海産物がいいの?」
「そうじゃねえって……」
本当に出しそうな雰囲気を醸し出している千賀子を前に、男たちは……まいった、と言わんばかりに両手を上げた。
そう、実際、男たちは……すっかり千賀子のペースに載せられて、まいってしまっていた。
なんというか、話せば話すほど、接すれば接するほど、気を許してしまうというか、怒る気になれなくなるのだ。
事実として、男たちは怒鳴ろうと思っていた。主導権を奪うタイミングを見計らっていた。
だが、出来ない。
そうしてタイミングを見計らっているだけで、どんどん気を許してしまうというか、怒る気力が萎えてしまう。
まるで、母親に……そう、自分たちがまだ子供の頃に憧れ、欲していた、優しい母親……愛情を注いでくれる、想像上の母。
そう、自分たちにはついぞ現れてくれなかった、優しい母親。
そんな母親と、茶化し合うような……想像するだけで気恥ずかしさで胸がいっぱいになってしまうような感覚に、男たちはもう……どうにもできなくなっていた。
「……お嬢ちゃん。あんた、怖い女になるよ。いや、もう怖いのかもな」
「え? そう見える?」
「おう、そう見えるよ。色んな男を惹きつける、魔性の女だ。この女のためなら一肌脱いでやりたい……そんな気持ちにさせる、怖い女さ」
「ふ~ん……そういう褒め方されても嬉しくないんだけどね、こっちとしては」
「ははは、そうか、嬉しくないか。それじゃあ、どんな褒め方をされたら嬉しいってんだい?」
「そんなの、決まっているじゃない」
ふふふっ、と。
思わずといった様子で微笑んだ千賀子は、無言のままに……空になった、男たちのグラスを指差した。
その意味が分からなかった男たちは、互いに顔を見合わせた後、千賀子とグラスを交互に見やり……しばし間を置いてから、あっ、と同時に声をあげた。
「……あ~、その、美味かった」
その言葉に、千賀子は……にっこりと、満面の笑みを浮かべた。
「──まあ、その、なんだ」
そして、その笑顔を真正面から受けた、ヤクザ二人は。
「今度、オヤジになんとか来てもらう……その、悪いようにはしねえからよ……なにか、オヤジに作ってくれねえか?」
「フルーツ盛り合わせとジュースしか今のところ作れないけど、それでいいの?」
「ああ、それでいいよ。きっと、オヤジもお嬢ちゃんのこと……気に入ると思うから」
──ああ、こりゃあ負けたな。
心の中で、ひっそりと敗北宣言をしたうえに、それですら……あまり悪い気にはならなかった事が、なおさら眼前の少女には勝てそうにないと……内心、苦笑するしかなかった。
……。
……。
…………なお、某プロレス団体の使い走りがこれまで何度か覗きに来ていたらしいが、その度に店は閉店していたので、今のところ千賀子の店である事には気付いていない模様。
それも、致し方ない。
学校やら体力やら何やらの関係から毎日店を開くわけじゃないし、だいたいその団体が覗きに来る時は、千賀子が学校に行っている時間という魔の悪さも原因である。
ちなみに、その某プロレス団体が首を突っ込むと、とあるプロレスラーの暴走によって無駄に話がややこしくなったりするらしいが……千賀子には知る由もないことであった。
『巫女』の能力によって多少なり余裕が生まれた『運の良さ』、万々歳である。
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千賀子の知らない神社の秘密・その4
実は、神社の手水舎は一ヶ月に1日だけ、中の水が酒に変わる日がある。
この酒は言葉には出来ないほどの美味であり、味覚が敏感な子供ですら美味に思えるうえに、非常にかぐわしい香りがする。
その味もさることながら、この酒の効能はまさに人知を超えており、一口飲めば白い髪が黒くなり、顔のしわも無くなり、若々しくなる
というか、肉体年齢が若返るので、若々しいなんて話じゃないが、今はいい、そんなことは重要ではない
この酒を口にする場合、注意が必要である
まず、効能に男女の違いがあり、女は酒を飲めば影響を受けるが、男はその影響を受けた女の身体より発せられる酒気によって影響を受ける。
一口だけなら問題無し、二口飲めば例外なく酔いが回り、三口飲めば、酒の影響によって非常に気持ち良く前後不覚に酔っ払ってしまう。
この時、介抱をする為に女神様のチェックを潜り抜けた男性が駆けつけてくれる。
この状態になると、あらゆる行為を受けても非常に強い快感を覚える。そして、この酔いに陥ると、次もまたと期待を寄せるようになる。
つまり、一度でもこの酒で酔ってしまえば最後、遅かれ早かれ子が宿り、産まれるわけである
手水舎の水が酒に変わるタイミングは不明で、前兆も無いので、油断してはいけない、というわけだ。
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