第35話 ちょっとそれ、大切な物なんだけど

サキが食料を刻んでいる中アイリは…


「待てぇー!止まってぇー!」


「止まれって言われて誰が止まるってんだバーカ‼︎」


「ムカつくぅ…。」


泥棒を追いかけていた。


遡る事数十分前…


「すいませーん!この紙に書いてあるものを4つずつくださーい!」


「あいよー!」


1分後頼んだ物が詰まった箱を持ってきた。


「はいよ、お会計8300G!」


アイリは預かっていた10000Gを手渡した。


「10000だから1700Gのお釣り。それにしてもそんな大きいの持てる?今更だけど。」


「これくらいヨユーだよ!私の力で…」


店員と2人で話している時。この時一瞬気が緩んでいた。


「はい、いただきー!」


「え?」 「あっ!」


一瞬のうちに箱ごと盗まれた。


「ちょっとそれ、大切な物なんだけど!」


箱に手を伸ばすが男はどんどん離れていく。


「そんなの知らねーよ!俺がありがたーく貰っとくぜ。」


男は滑るように去っていった。


「なんだあの動き…。道を滑った?」


というかあの食料ないと店が止まっちゃう…


「待てぇ‼︎」


アイリは走って追いかけた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

冒頭に戻る。

「なかなか距離が縮まらない…。能力は多分『滑走』かそれに近い何か。この先は一本道だけど…さっき混んでたからあっちは減速するはず。」


アイリが走っている通りは建物は高さがある程度均一であり人混みを突っ切るよりは全然速く移動できる。


「自分に力を向けてっと。」


アイリは自分の体を能力で持ち上げ屋根の上に投げた。


「おっとっと。思ったより足場安定しないな。でもこれなら止まらずに追いかけられる!待てー!」


アイリは屋根の上を走り追いかけた。

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