アタナトスの革命〜[裏の]英雄譚〜
ロトロノハ
第一話 唐突な転生
『ミトラの結末』
これは知る人ぞ知る現代ファンタジーRPGである。ヒロインの画像や必殺技のアクションなどが綺麗で流行ったゲームである。
もちろん、俺は即そのゲームにのめり込み廃ゲーマーの1人としてゲーム内では有名だった。
ある日、
同じく『ミトラの結末』をやっていた仲間の廃ゲーマーから、突然に
「今度、『ミトラの結末』がVRMMO化するからよ、ツウィチのサービス終わるぜ」
「なんだって!」
俺は過去に二度とないくらい焦った。コップの中のコーヒーを着ていたお気に入りの「ザ・廃ゲーマー」と書かれたTシャツにぶちまけてしまった。
しかし、仲間の廃ゲーマーは興奮した様子で俺のことを気にせず話を続けてくる。
「おうよ、今はまだ、この情報は出回ってねーから、早く新しいゲーム機買ってこいよ!」
こんなことを言われてしまっては、今から買ってこないと慌てて、用意をする。
「感謝する!、今からゲットしてくるぜ!」
俺は仲間の廃ゲーマーとのチャットを切り、コーヒーをこぼしたTシャツで、駆け足に家を出て行く。
俺の家は古いマンションなので、階段しかなく、エレベーターはない。そのため、急ぎ足でかいだんを駆け降りる。
しかし、次からの段に足をかけようとした時、顔に強烈な光が刺して、俺は階段から足を踏み外してしまった。
思えば、
俺は廃ゲーマーとしてカーテンを開けたり、閉めたりする行動を無くすため、閉めたまんまにしていた。そのせいか、太陽への耐性がいつの間にか、失われていた。
そんなことを考えながら、階段の角が迫ってくる中、走馬灯として蘇るのは、VRMMO版の『ミトラの結末』についてだった。
(あー、ちゃんとした生活習慣してたら、こんなことにはならなかったよなー。VRMMO版の『ミトラの結末』やりたかったなー)
そして俺は、享年25歳でこの世を去った。
ーーーーーーーーーーーーーーー
キラッ
「ぐぁ、眩しい」
(なんで、死後の世界でも太陽の光が出てくるんだー!)
「大丈夫?」
なんと、やや高めな声が頭の上から聞こえて来た。
周りを見渡して、太陽の光に少し慣れた俺は、窓ガラスがある廊下の中で、声の方に頭を上げると、絶対に背中から光を出しているような金髪碧眼の美少女が腰を曲げて、手を俺の方へと差し出して来た。
(なんだ、天使様か、俺の行くのは天国なのか!)
なんて、考えていると、その天使様は、
「大丈夫?、いきなり倒れたから心配したよ、ファイングくん。」
自分の名前とは違う名前で呼ばれて、当然俺は驚き、理解できなかった。
しかし、ここで天使様の背後から美男子が出て来た。
「リナリア、どうしたんだ?」
「ミトラくん、うん、ちょっと知り合いが倒れちゃって、、、もう、大丈夫?」
困惑する俺は、
「大丈夫!」
と心配をかけさせないように元気に答えた。今の俺にとって、最大限の配慮だった。
何故なら、
目の前にいる美少年、ことミトラくん、おれが死ぬまでにやっていた『ミトラの結末』の主人公の名前なのだ。
(つまり、俺はテンプレの転生を大好きなゲームで果たせたのか!)
と、突然泣いた俺にミトラ及び『ミトラの結末』のヒロインのリナリアはドン引きした。
周りの人もドン引きでした。
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