第168話 学校への取材

「あの……、マッチングアプリのこれ、お相手って、おじさんですか?」


「ぶひひ……、そうだよぉ、ゆなちゃん♡おじさんが、ゆなちゃんのお相手の、フトシおじさんだよぉ……♡」


「わあっ♡逞しいおじさん……♡ゆなの好み〜♡」


「ぶひひひ……!じゃあ、ゆなちゃん?まずはどうする?食事でも?」


「え〜?ゆな、早く始めたいな〜♡」


「ぶひっ?!こ、ここで?」


「うんっ♡ゆな、早くやりた〜い♡」


「しょ、しょうがないなぁ、ゆなちゃんは♡じゃあ、ここでやろうか……♡」


「薬丸自顕流、四段!園田由那!」


「泰山巨熊拳、師範代!大山太志!」


「「いざ尋常に……、勝負!!!!」」




「なー、午後どうするー?」


「デモハンやろーぜ!」


「デモハンもう飽きたー!アプデ来ないしさあ!」


「じゃあどうすんだよ?」


「とりあえず公園行かね?」


「そーだなー、暇だし!」


「あっ、そうだ!アレやろうぜ!」


「アレぇ?いつもの?」


「そうそう!」


「しょーがねえなあ……」


「崑崙山仙術、初段!秋山光基!」


「アルザード流宝石魔術、開門級!城見誠!」


「修験道退魔術、一の位!牧野蓮!」


「「「魔術の早撃ちで勝負だ!!!」」」




「はぁ〜、今日も疲れましたねえ!」


「そうだなあ、繁忙期だからなあ」


「仕方ないですよね」


「部長、今日これから、『コレ』なんてどうすか?!」


「おっ、『コレ』かい?いやぁ、君も通だねぇ!」


「えっ!先輩、これから『行く』んですか?!ご一緒させてください!」


「よおし、じゃあ今日は僕が奢っちゃいますよ!さあさあ、みんな飲んで飲んで!」


「うん、いただくよ……、『バフポーション』をね!!!!」


「ヨシっ!!!!先輩、早速行きましょう!!!!目標は終電までに十階層で!!!!」


「応ッ!!!!行くぞ、新宿第三十六ダンジョンへ!!!!」


「タイ捨流剣術、奥伝!山辺翔!」


「神道相撲、大関!大河原義臣!」


「ヘルシング対妖魔退散術、四席!嶋田凛!」


「「「いざ参る!!!!」」」






「この国おかしいだろ」


私は最初、謀られているのだと。わざと目の前で騒動を起こされているのだと、そう思っていた。


だが違う。


この国の人間は、カジュアルに命を投げ捨てる。


しかしそれも、本気の殺し合いではなく、単なる手合わせの範疇なのだとか。


学校帰りの子供達が公園に集まり、キャッチボールの代わりに魔法?とやらの撃ち合いを始めるのを見て、私は悟った。


まともじゃない、と。


あんな子供が、日常的に、殺し合いの訓練を自主的にしている?


それでも、兵隊になれるのは、ごく一部のエリート戦士のみ?


何だ、何なのだ、これは?!!!


勝てる訳がない!!!


当然、異常だと思い、学校に取材に行った。


子供は正直だ。親に言うなと言われたことも、煽てれば言ってしまう。


純真といえばそうなのだが、ある意味では愚か……いや、幼さを愚かと言うのは語弊があるか。だが、取材するには最も良い相手だった。


それに、子供を映せば視聴率も上がるしな。子供と動物は良い、批判少なめで視聴率がそこそこ稼げるから……。


そんな訳で、私は、ジュニアスクールの子供達に取材し、話を聞いた。


だがそれは、この国がイカれていると言う私の認識を後押しする、そんな結果にしかならなかった……。


小学生の回答ランキング


Q:何故殺し合うの?


三位:たのしいから


二位:しゅみです


一位: 皇国ノ安寧ヲ護持スルヲ志シ、国民各員ハ精神ヲ淬励シ、肉体ヲ錬成シ、全力ヲ傾ケテ戦闘準備ヲ完遂セヨ!


本当にイカれている。


学校では何故か、よく分からない文章を読んでいて……。


「「「「朕󠄁惟フニ我カ皇祖󠄁皇宗國ヲ肇󠄁ムルコト宏遠󠄁ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ

克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精󠄁華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス〜……」」」」


グラウンドでは魔法や弓矢が飛び交っている……。


「魔導部ー!ファイトー!」


「「「「おーーーっ!!!」」」」


ナードであっても。


「常在戦場なんだよな」


「武士道とは死狂いなりってそれ一番言われてるから」


「しゃあっ!ダン・ジョン!」


ジョックでも。


「二組のやつらガチで雑魚い笑、がちで功夫足りてない笑笑」


「それな!笑、足運びがちで終わってる笑笑」


「てか外気功どう考えてもおかしい笑笑、基礎だろ笑笑」


価値観……、そう、価値観が違うのだ。


この国の連中からすると、自分で戦えないことが、いざという時に命を捨てられないことが、女子供を先に死なせることが……、それこそが「恥」なのだ。


中世の戦士階級のような考え方が、子供にすら広まっていて、一般化している。そんな国なのだ。


こんなものは、当たり前に、話が合う筈もない!


世界経済の中心となっている癖に、資本主義ではなく、軍国主義ともまた違う、別の何か!


最早国民性だ!我々イギリス人が紅茶を「嗜む」ように、日本人は戦いを嗜むのだ!


思い違いだった、こんな国に、武力で対抗してはならない!


記事を……、記事をまとめなくては!


下手な外交をしたら、国が滅ぶぞ?!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る