お祝い


 上司の奥さん(予定)に子供ができたらしい。


 あ?


 そうですか。

 救急車呼んだだけで朝礼で吊し上げられた俺とは違って、上司はハッピー街道まっしぐらなようで何よりである。

 出来ちゃったからには結婚をしないとネ、とか、なんだとか、かんだとか、


 ええ?

 はあ。





 ハ?


 はあ。

 なるほど。


 社長も何やら派手にお祝いしてくれているらしいとのことで、念願叶って大はしゃぎしている。元気で何よりである。デスクでとんがりコーン食うのやめろ。



 いや。その。


 いや。


 あの、まあ。

 はい。


 別にいいと

 思いますよ。はい。

 いいと思います。

 責任を持って育てるなら。

 どんな経緯でどんな両親でどんな環境だろうと、責任を持って育てて、一人で自分を食わせる程度にはなれて、たまにいいもん食って幸せだなと思える人生に出来るなら、いくらでも子供を作ればいい。

 そう思うよ。思います。本当に。


 でもお前のそれは違くないか?


 全くもって違くないか?


 なんだったら種も違くないか?


 どうなんだ。

 別に確かめたくはねえが。

 聞きたくはなっちゃうだろ。

 流石に。


 次のパーティっていつ?とか、言ってる場合じゃねえだろ。

 ウキウキもするな。してる場合じゃねえだろ。


 元気で何よりだな。









「琴浪クンもさぁ〜、大事な上司の重要な節目なんだから、ちゃんとお祝いしてくれないとダメでしょ? 全くもぉ〜〜本当に愛想がないっていうか、こういうところを上手くやれないと!」

「おめでとうございます( ◠‿◠ )」

「まっ、琴浪クンみたいな子でも、いつかは僕みたいに素敵な結婚ができると思うよ。頑張ってね!」

「ありがとうございます( ◠‿◠ )」




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