XXX日後に呪われるだけの誰かさんの日記

落下

　スーパーの帰りにいつもと違う道を使ったら、ずっと落ち続けてる奴がいた。

　四階建てのビルから落下して鈍い音を立てては、またのろのろと上に戻っている。

　なんとなく、路上で酒を飲むついで（生肉が怒るため、最近外でしか酒が飲めない）に観察してみたところ、明確に通行人を狙っているのが分かった。

　空間把握能力がゴミすぎるせいで、狙った場所に落ちていないだけのようである。

　とりあえずコンビニに寄って、あたりめを買って、あとは焼酎もつけて、いつぞやのマンホールまで持って行って、穴と一緒に戻ってきた。

　いい感じの位置に隠れさせて、再度見守る。

　のろのろと上ったアホは、二メートルは離れている通行人目掛けて落下しようとして、見事に位置を変えた穴に飲まれていった。

　濁った叫び声を聞いた通行人が、ぎょっとしたように足を止める。

　事故か何かだと思ったのか辺りを見回していたが、足早に去っていった。

　穴は邪魔だし危ないので、きちんと元の場所に戻して、帰って寝た。

　翌日。

　役所からお叱りの電話かかってきた。

　勝手に変なもん食わせないでくださいとのことだった。

　だったらそっちで管理してくれという話である。

　何も分からないアホのふりをしてマイナンバーカードの話をし続けたら、知らぬ間に切れていた。