第25話 みかんがない

しろいくま。

ガッツリみかん。


みかんを求め。

みかんを願い。

みかんに託した。


だけど両方とも売っていなかった。


「かなしみ」


葉月が小さく嘆く。

峰子も残念そうに言葉を続ける。。


「大丈夫です!」


蜜柑がニッコリと微笑む。


「蜜柑ちゃん、みかんがないと部活活動ができないよ!」


「先輩、ウチ軽音部ですよ」


一のツッコミは誰の心にも響かない。。

もうみんなみかんのことで頭がいっぱいだったのだ。


「私を誰だと思っているんです?」


蜜柑の質問に峰子が首を傾げる。


「有田蜜柑さん?」


「ふふふふふ……

 有田蜜柑は仮の名!

 真の名は、みかん姫!

 私の冷蔵庫にはみかんがある!」


蜜柑の目が輝く。


「でも、しろいくまもガッツリみかんもないんだよ?」


「みかんはある。

 冷凍庫もある。

 そして導ける道は一つ!

 ないものは作れます!

 他の果物もありますし……

 きっと!できます!」


そういった蜜柑の目はまっすぐで未来を見ていた。

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