第5話 ピンチを超えた先の異次元のピンチ

 ———……これは一体どういう状況なのだろうか??


 俺は超絶高そうなソファーで隣に座る、柔らかい笑みを浮かべるレティシアをぼんやりと眺めながら自問する。


 正直なところ……俺が彼女と婚約(正式ではないが)したことが未だに現実であるという感覚がない。

 多分この転生が全て夢だったって言われた方がまだ信じるぞ。


「ねぇ、アルト」

「な、何ですか、フリージ…………レティシア様?」


 名前を呼ばれ、俺が苗字で呼ぼうとするとジト目を向けて来たので直様名前に変える。

 しかしそれでもまだ不服らしく、小さく頬を膨らませた。

 誰ですか貴女は。


「……様?」

「……レティシア」

「ふふっ、そうよ。これからは2人の時はそう呼びなさい」


 そう言って機嫌良さそうに笑うレティシアの姿に、取り敢えず安堵に胸を撫で下ろす。

 正直緊張でどうにかなりそうだ。


 だって下手なことをやらかして首が飛ぶのは間違いなく俺だぞ?

 目の前に死神が座ってるようなもんなのに緊張しない奴がいるかよ。

 いたら是非とも会ってみたいもんだ。


 俺は早く退散したい気持ちを抑え、終始機嫌の良さそうなレティシアに尋ねる。


「ち、因みになんですけど……俺はこれからどうすれば良いんですかね……?」

「そうね……借金は私の方でどうにかしてあげるから気にしなくて良いわ」

「……え、良いんですか……?」

「それくらいなら別に良いわ。ただ……貴方が私が肩代わりするに相応しい人物であるかを証明しなさい。そうね……取り敢えず上級以上の精霊と契約して、A級ダンジョンを攻略出来るくらいにはなって欲しいわね。そうすれば誰も私達の結婚に文句は付けないわ」

「………………へ?」


 ちょっと待って。

 A級ダンジョンがどれくらいかは分からないけど……じょ、上級精霊……?

 無理無理無理無理……王国にいる精霊使い達が数万人規模なのに対して上級精霊使いはたった30〜50人程度だぞ……?


 そのあまりのハードルの高さにもう空笑いしか出てこない。

 

「は、ははっ……が、頑張りますね……」

「うん、頑張ってね」

「そ、それじゃあ俺は精霊と契約するための準備をして来ます!」


 俺はレティシアに頭を下げた後、猛ダッシュで寮に戻りながらスマホを開いた。










581:元地球人

拙い拙い拙い拙い拙い拙いマズいマズい


582:名無しの地球人

お、帰って来たな

おかえりイッチ


583:名無しの地球人

何かイッチ壊れてない?w

ど、どうした……?


584:名無しの地球人

え、何があったん?

何かやらかした?


585:名無しの地球人

マジでどした?w

あのイッチが脳破壊されてるぞww


586:元地球人

【悲報】

ワイ氏、公爵令嬢の婚約者(まだ正式ではない)になる


587:名無しの地球人

は?


588:名無しの地球人

は??


589:名無しの地球人

ちょっと意味が分からない


590:名無しの地球人

イッチの奴……どうやってあの超冷徹な公爵令嬢を落としたんだ!?


591:名無しの地球人

嘘だろ……!?

全エンドクリアし、追加コンテンツまでやり込んだワイですら、レティシアが結婚はおろか婚約するところさえ見たことないというのに!?


592:名無しの地球人

何がどうしてこうなった?

レティシアって男嫌いなんじゃ?


593:名無しの地球人

>>591

追加コンテンツまでやり込む猛者いるの草


594:元地球人

>>590 >>592

ワイにも訳が分からないんや

なんか家に行ったら『不正しなくても十分合格出来た』『不正は教師が気付かなかった時点で合格』とか言われて不問や

それでその後に『殿下とセノンドールの前で告白した度胸は褒めてあげる。私の夫に相応しいメンタルね』って


595:名無しの地球人

やっぱりイッチのスペック高いやんww

魔法試験0点でも受かるとかエグすぎww


596:名無しの地球人

そう言えば爆弾は?


597:名無しの地球人

それなww

結局巻いて行った?


598:元地球人

>>596 >>597

勿論巻いて行ったで

周りに結界張られててバレてたらしいけど

これが証拠写真や

https://※※※※※※※※※※※※


599:名無しの地球人

マジで巻いて行ったのかよww

てか2枚目のレティシアの笑顔めちゃくちゃ可愛いんだけど


600:名無しの地球人

それな

普通に嫉妬するわww


601:名無しの地球人

このワイが見たことない笑顔……だど!?


602:名無しの地球人

驚き過ぎて誤字ってるの草

ただ嫉妬するのはマジで分かる

可愛過ぎてこの子と結婚するイッチがウザい


603:名無しの地球人

家の奥底から設定集出て来たww

その中のレティシアは、『本が好きで、本の中の主人公みたいにどんな相手でも気にせず自分を貫く人が好み』って書いてあるで


604:名無しの地球人

そう言えばイッチ……王子と公爵子息の前で告白したなww

それに爆弾巻いて家凸してるわww


605:名無しの地球人

まさかの好みのドストライクだったんかww


606:元地球人

いや笑い事じゃないねん!

婚約のせいで借金肩代わりしてくれる代わりにとんでもない条件を課せられたんや!


607:名無しの地球人

とんでもない条件??

てか1億を肩代わりって……大分気に入られてるなw


608:名無しの地球人

それなw

幾ら公爵家の御令嬢でも厳しいやろ


609:元地球人

そうやで

だから肩代わりに相応しい男になれって言われて2つの課題を出されたんや

①上級以上の精霊と契約

②A級ダンジョンの攻略

地獄やで……


610:名無しの地球人

イッチ……それは詰んだも同然や


611:名無しの地球人

条件が終わってる……


612:名無しの地球人

全エンド攻略プレイヤーのワイから言わせて貰えば、上級以上の精霊との契約は出来る

ただ……A級ダンジョンは今は絶対無理だから考えたらあかん


613:名無しの地球人

!?


614:名無しの地球人

>>612

神が降臨なさってるぞ!


615:元地球人

>>612

マジか!

どうやってやるんや!?


616:名無しの地球人

まず精霊を召喚する精霊石を買う

そして精霊の森って所の中心部にある精霊池に精霊石を投げ入れて契約したい精霊の名前を呼べばいい

あとは契約できるまで気合いと根性


617:元地球人

ワイにはそんな精霊石なんて高価なモンを買うお金がないんや……ッ!!

そもそも所持金−1億やで?

無理に決まってるやろうが!!


618:名無しの地球人

絶望的で草

確か1個10万くらいか?


619:名無しの地球人

>>617

でもそれ以外方法はないぞ


620:名無しの地球人

更に絶望的で草


621:名無しの地球人

笑ったらいけないけどバカおもろいww

てか爆弾作って売れよww


622:名無しの地球人

>>621

!?


623:名無しの地球人

>>621

天才来たww


624:元地球人

>>621

そ、それや!!

ワイはこれから爆弾販売員になって金稼ぐんや!!


625:名無しの地球人

爆弾販売員ww

魔法が主流の乙女ゲーで絶対聞かない言葉ww


626:名無しの地球人

頑張れイッチ!

ワイは応援してるぞ!


—————————————————————————

 ここまで読んで下さり、ありがとうございます!!


 モチベで執筆スピード変わるので、続きが読みたいと思って下さったら、是非☆☆☆とフォロー宜しくお願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る