第32話 漆黒の翼竜、夜襲の影

遺跡の安全確保と新たな友好関係の構築に成功したオイスドンR4とその探検隊は、楽園への帰路についていた。しかし、彼らの旅は未だ安全とは言えなかった。夜の帳が下りた時、彼らは予期せぬ脅威に直面する。漆黒の翼竜、クロヴィアスが彼らに奇襲をかけたのだ。


クロヴィアスはその巨大な体と漆黒の翼で夜空を支配し、目にも留まらぬ速さで探検隊を襲撃する。その攻撃は猛烈で、探検隊は一時的に分散させられるほどだった。オイスドンR4は急いで隊員たちを再集結させるが、クロヴィアスの攻撃は次第に激しさを増していく。


クロヴィアスの突然の襲撃に、リケンとソーラ・ギストは自然と光の力を組み合わせて防御壁を作り上げる。ヴィダルはその敏速な動きを活かしてクロヴィアスの動向を探り、カイラスは彼の交渉術を用いてクロヴィアスとの対話を試みる。しかし、クロヴィアスは理性よりも獣の本能に従う存在であり、容易に言葉には応じない。


この危機的状況の中、オイスドンR4はクロヴィアスの攻撃パターンを分析し、一計を案じる。彼はクロヴィアスが攻撃のために必ず使用する巨大な翼の動きを狙い、ミクロンにその翼の内部への侵入を依頼する。ミクロンはその小さな体を活かしてクロヴィアスの体内に潜入し、内部から彼を鎮めるための治療を試みる。


一方、オイスドンR4と残りの隊員はクロヴィアスを一時的に地上に引きずり下ろす計画を実行に移す。リケンの植物操作能力とソーラ・ギストの光を利用して、クロヴィアスを束縛し、動きを制限する。クロヴィアスが束縛された隙に、ミクロンは彼の神経系を穏やかにする特殊な酵素を放出する。


この作戦が功を奏し、クロヴィアスの暴れる力は次第に衰え、ついには落ち着いてきた。クロヴィアスが静かになると、オイスドンR4は彼に対し、楽園との共存の道を提案する。クロヴィアスは当初は戸惑いながらも、彼らの誠意ある行動に心を動かされ、攻撃を止め、徐々に対話に応じるようになる。


クロヴィアスの夜襲は、探検隊にとって大きな試練だったが、それを乗り越えたことで、彼らの絆はさらに強まり、楽園への帰還も安全なものとなった。クロヴィアスもまた、新たな仲間として彼らと共に歩むことを選び、漆黒の翼がこれからは楽園の守り手として新たな役割を果たすことになる。

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