怪獣転生: オイスドンR4と荒廃世界の法則

みっちゃん87

第1話 転生の始まりと硬殻の覚醒

闇。そして、一瞬の静寂の後、意識がゆっくりと水面に浮かび上がるように戻ってきた。しかし、目の前に広がるのは見慣れた景色ではなかった。瓦礫が山積みになり、荒廃した街が静かに時の経過を告げている。空は鉛色で、かつての文明の息吹はどこにも感じられない。


「ここは……どこだ?」


声を出そうとするが、出てくるのは人間のものとは思えない、低く唸るような音。混乱の中、ゆっくりと自分の体を見下ろす。しかし、そこには人間の身体があるはずがなかった。硬い外殻に覆われ、鋭い爪が手足に備わっている。体を動かす度に、鎧のような外殻がこすれる音が響く。自分が、怪獣になっているのだという現実に、心が拒絶反応を示す。


「なぜ……?」


その時、天からの声が頭の中に響いた。「オイスドンR4、お前はこの荒廃世界の新たなる住人だ。生き残るためには、強くなるしかない。」


意識の中で、自分がオイスドンR4と呼ばれる存在であることを受け入れざるを得なかった。自分の新しい身体に意識を集中させ、ゆっくりと立ち上がる。外殻は重いが、身体は想像以上に軽く、動きは俊敏だった。


荒れ果てた街を探索し始めると、遠くで何かが動く気配がする。隠れて様子を伺うと、同じく怪獣のような姿をした生き物が一匹、廃墟の間を移動していた。それは、まるでかつての地球上の動物のように、四足歩行し、その身体からは緑色の輝きを放っている。


この荒廃した世界では、生きるためには他の怪獣との戦いが避けられない。だが、オイスドンR4は戦うことを選ぶのか、それとも……


オイスドンR4はじっとその怪獣を見つめた。これが、新たなる生の始まり。生きる意味を見失った男が、怪獣として転生し、生きる意味を見出す旅が、今、始まろうとしていた。

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