説明と昔のことと昔のチーム名と

 ここは町長の屋敷。そして波留のために用意された部屋だ。

 あれから幸は、ミクセアと星奈とコリュカとミフェナをこの部屋に連れてくる。


 そして現在、波留のベッドのそばに椅子を用意した。

 その椅子には、幸が真ん中でその両脇にミクセアと星奈が座っている。幸の後ろには、コリュカとミフェナが椅子に腰かけていた。

 因みにライゼルは波留のベッドを挟むように、幸たちの反対側に居て椅子に座っている。


「幸……みせつけたい訳じゃないよな?」

「そんなつもりはない」

「ハァー……まあいい。それで?」


 そう波留に問われ幸は話し始めた。


「まず、森の巨大な怪物は半年前に星奈がジェルスラキングにしてカードに封印している」

「なるほど……じゃあ、その件は片付いた。だが、なんで半年の間……行商人や役人が通らなかった? 半年前は、分かるんだが」

「噂のせいではないでしょうか」


 そうミクセアが言うと幸は考え始める。


「んー……それが本当なら、その噂をどうにかしないとな」

「幸……そうなると、他の町で怪物を退治したと噂を流す必要があるな」


 そう波留が言うと六人は頷いた。


「じゃあ、波留が回復したらみんなで旅に出よう」

「あのぉ……私も、その数に入っていますよね?」

「ミクセア、悪い……連れて行く訳にはいかない。それにブロバルさんに怒られそうだしな」


 そう言われミクセアは、悲しい顔になり俯く。

 それをみた星奈とコリュカとミフェナは、ニヤニヤしている。

 そうミクセアがこなければ、幸のそばに居られる率が増えるからだ。


「……お父さまが、良いと言えばいいのよね?」

「そうだな……だけど、ブロバルさんが首を縦に振るとも思えない」


 そう幸が言うとミクセアは、ニコリと微笑んだ。


「恐らく、大丈夫ですわ。では、承諾を得てきます」


 そう言いミクセアは席を立ち部屋を出ていった。

 その間、幸たちはミクセアが戻るまで話しながら待つことにする。


「んー……そうなると、ミクセアが戻るまで話を進めない方がいいな」

「幸、そうだな。そういえば、幸はなんで族を辞めたんだ? てか、よく辞められたな。中々辞められないって聞いてたけど」

「そうなのか? 結構あっさり辞められたぞ。ただ仲間に泣かれたが、辞めないでくれってな」


 それを聞き波留と星奈は、なんとなく分かったらしく顔が青ざめていた。


「あーえっと……まさか、族のリーダーってことはないよな?」

「星奈……リーダー、か。そう言われてたような気もするが、中二の時だしよく覚えてない」


 それを聞き波留と星奈は呆れた表情になる。


「幸らしいな……そうなると、その段階で解散だったんじゃないのか?」


 そう波留に問われ幸は思い返してみた。


「どうだろうな。俺と同じぐらい強いヤツは結構いたから、出主笥架瑠亜鎖審デススカルアサシンが解散したって聞いたことない」……かなり当て字である。


 その名を聞いて星奈とコリュカとミフェナは驚く。


「待って……デススカルアサシンって云ったら」

「セナ、ヤツラのチーム名と同じだな」


 そう星奈とミフェナが言うと幸は首を傾げる。


「ヤツラのチーム名って……どういう事なんだ?」

「さっきも幸に話した、このデスゲームを考えた連中のチーム名なんだけど」


 そう星奈に言われ幸は、どういう事だと困惑した。

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