三人の女
ここはバルデアの森にある洞窟の上。その場所は崖になっていてかなり高い。
そこから幸たちをみている者が三人いる。そのうちの一人は、この世界の者ではない。そう、さっき幸とミクセアをつけていた影だ。
「あらら、三人に増えちゃったな」
そう言いガッカリしている。
この者は
ショートヘアで、前髪が目にかかるほどに長い。能力は、対象物を好きなものに変えられる【妄想生成】だ。
「ねぇ……セナさぁ。あの……バトルアックスを……持っていたぁ……男の人……欲しいなぁ」
そう言い狐の獣人の女性は、金色の髪をかき上げ幸を目で追った。
この狐の獣人の女性は、コリュカ・キウネ。年齢は、敢えて言わないでおこう。
「コリュカ、男を漁るのも大概にしろよ。んー……でも、今までみて来た男の中ではいい男かもな」
そう星奈は言い幸に視線を向ける。
「それよりさ。なんであのバトルアックスを持っていたヤツ、能力を使わなかったのかな?」
ハーフエルフの女性は、幸を不思議に思いみた。
このハーフエルフの女性は、ミフェナ・ハーブル。こちらも年齢は敢えて言わないでおこう。
黄緑色の長い髪は、腰まであり下の方で一つに束ねている。
「そうだな……能力を出し惜しみしてるのか? だけど……ボクなら、そんなことしない」
「セナぁ……もしかしてぇ……能力が……ないんじゃ……ないのかなぁ」
「……それは、あり得るな」
それを聞き星奈は首を傾げた。
「そんなことが……あり得るのか? だとすれば、女神がギフトを渡し忘れたってことだろ。んー……いや、あり得ない。やっぱりあの男、自分の能力を隠してる!」
「まぁ、そう考えるのが普通だろうな」
「ねぇ……それよりもぉ……この後……どうする、の?」
そうコリュカに聞かれ星奈は思考を巡らせる。
「そうだな……あと一体、召喚しておくか」
そう言い星奈は、カードを一枚ポケットから取り出した。
因みにこのカードはこの世界の魔道具だ。対象物をカードに収納したり召喚したりできる。
但し、カードは一枚につき五回までしか使えず消滅するのだ。そのため予備のカードを、常に補充しておかなければならないのである。
星奈はそのカードを目の前に翳した。
「封印されしもの召喚されよ!」――《いでよ ジェルスラキング!!》
そう叫ぶとカードの前に魔法陣が現れる。
それを確認するとカードを波留とライゼルの方へ向けた。
すると波留とライゼルの近くに魔法陣が現れて、ジェルすらキングが召喚される。
「これでいい。じゃあ、ボクはあの男を追う」
「セナぁ……私も……行きたい、なぁ」
「そうだなぁ……ミフェナ、こっちは一人でも大丈夫か?」
そう言われミフェナは頷いた。
「問題ないよ。それになんかあっても、預かってるカードを持ってるしね」
「そうだな。じゃあミフェナ、ここは任せた!」
そう言い星奈は、幸とミクセアを追いかける。
そのあとを「待って〜」っと、コリュカが追った。
それをみてミフェナは微笑んでいる。そしてその後、波留とライゼルの方を向いた。
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