第17話

街を抜ける。

もう、人気はない。

やあ、ここは、鳩の公園。

鳩の群れは居ない。

走り過ぎた時、猫が消えた。

あれ、ここは、猿の餌場。

猿の群れは居ない。

走り過ぎた時、猿も消えた。

さみしくはない。

僕らひとりずつ、ずっと一緒だ。

いちいち思い出したりしないけど、

忘れたりはしない。

僕はひとり、走る。

そして、亀の甲。

誰も、居ない。

亀甲石をちらと横目に走り過ぎる。

道が終わり、切り立つ崖。

そのまま走り抜ける。

どれくらい走ったんだろう。

いつしか夕暮れ。


真っ黒い淵へ、勢い良く飛び込んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る