第2話
こうしてアリアは……無事に救出されたのだが、当然行われるはずだった『星空会』はその日は中止となり、後日に延期という形になったのだが……。
――この『後日』がいつなのかまだ分からないのよね。
でもそれは仕方ないだろう。
確かに『退学』がかかっているというのもあるが、それでいてこの行事自体が大規模なモノな事もあり時間も取っている。
――それに国王陛下や王妃様をお呼びするのも大変でしょうし……。
もちろん『中止』という選択肢もあるとは思うが、そうはならなかった。
――何となくその『理由』は分かるけど……。
それに関しては王妃教育で習った為知っている。
簡単に言えば『星空会』を始めとしたこの学校の行事は全て『この国の魔法の為に必要な事』なのだ。
「……」
アリアは『事故の被害者』として国王陛下と王妃様から王宮に当城する様に言われたらしい。
――当たり前と言えば当たり前よね。
だからその日、アリアは学校にいなかったのだが……キュリオス王子もいなかった。
それにより何となく、イリーナは一つの大きな出来事が終わりを迎えている様に感じていた――。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「――では、誰の手によって落とされたのかは分からないのだな」
「……はい。ですが――」
そこでアリアは言いよどむ。
「大丈夫。何でも言って」
そう優しく声をかけてくれるキュリオス王子にアリアは小さく頷く。
「……何か?」
国王陛下はそんな二人をたしなめる様に軽く咳ばらいをし、アリアに続きを促した。
「――実は穴に落とされた後。私は魔法を封じられてしまいました」
「ええ。それは報告を受けています」
「ですが、そういった事の出来る魔法道具はそう多くはなく。また一般にも出回ってはおりません」
「ふむ、確かに。そうなると……そうした事が出来る人間はおのずと限られてくるな」
アリアの話に納得したのか国王陛下は「うんうん」と頷く。
「そういえば、アリアちゃんはどうして一人でいたの?」
「そ、それは……その。実は怪しい人影を見かけたもので……」
「怪しい人影?」
「はい」
そして、その後を追いかけたという事を伝えた。
「――なるほど。そなたの話は分かった。しかし、学校の伝統行事でよもやこういった事が起きてしまうとは……」
「ええ。非常に残念です」
悲痛な面持ちのお二人に対し、アリアはどう声をかければいいのか分からない。
「……コレで決定ですね」
「え」
一体「何が」だろうか。
アリアは全然話の流れが分からず、思わずキュリオス王子の方を見ると、王子は優しい表情でアリアの方を見て説明をしてくれた。
「今回の一件の前から実はアリアと似たような報告が別の生徒から入っていてね。そしてそれがローレンス商会の子息によるものだという事が分かった」
しかし、それがキュリオス王子の耳に入った時には既にアリアは穴に落ちていた――という事だったらしい。
「一歩間違えば軽い怪我だけじゃすまない事になっていた。それも含めて彼にはじっくりと事情を聴かないと……ね」
そう言っているキュリオス王子の表情は……何て言うか「ニヤリ」という効果音が聞こえそうだった。
「……」
そんな王子に対し、アリアは何も言えずにただただ「その笑顔が怖い」と思う事しか出来なかった。
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