第23話 沼の青眼の魔物
渚王国の平和な日々が続く中、辺境の村から新たな脅威の報告が届いた。かつて人々が忌み嫌う、青眼の魔物が潜むとされる沼から、再び怪しげな動きが感じられるようになっていた。この魔物は、見る者の心を凍らせ、恐怖で縛り付ける力を持っていると言われていた。
ピットは、この脅威に対処するため、再び討伐人としての役割を果たすべく、沼地へ向かった。今回もリアナが彼の旅に同行することを申し出たが、ピットは彼女に王国を守る役割を託し、単身で沼地へと足を踏み入れた。
沼地に到着したピットは、異様な静寂の中、青白い光を放つ眼が暗闇の中から彼を見つめているのを感じた。恐れを抱きながらも、彼は内なる力を集中させ、闇の力を操りつつ慎重に進んだ。沼の中心に近づくにつれ、魔物の存在がよりはっきりと感じられるようになった。
青眼の魔物は、予想以上に巨大であり、その目は深い悲しみと怒りを孕んでいた。ピットは戦いを挑む前に、なぜ魔物が再び現れ、何を望んでいるのかを理解しようと試みた。彼は、闇の力を用いて魔物の心に僅かに触れ、その悲しみの根源を探った。
すると、ピットは魔物がかつては人間であったこと、そして不幸な運命によって沼に縛り付けられ、魔物へと変貌してしまったことを知った。その心の中には、人間への憎しみよりも、自らの運命への悲哀と、解放を望む強い願いがあった。
ピットは剣を振るう代わりに、青眼の魔物と心を通わせ、その苦しみを和らげようとした。彼は闇の力を用いて魔物に平穏をもたらす儀式を行い、魔物が抱える古い呪いを解くことに成功した。その瞬間、魔物の姿は静かに消え去り、代わりに沼地は生命の光に満ちた。
ピットは、この出来事を通じて、闇の力が破壊だけでなく、癒しにも使えることを学んだ。彼は沼地を後にし、王国へと帰還した。リアナとの再会を果たし、彼女に全てを話した時、ふたりの間には新たな理解と信頼が生まれた。
この冒険は、ピットにとって、力とは何か、そして真の討伐人とはどうあるべきかということについて深く考える機会となった。沼の青眼の魔物との遭遇は、彼の心に消えない印象を残し、平和の守り人としての彼の旅に新たな意味を加えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます