渚鹿丸の仮面

第11話 闇を払い、光を求めて

陰謀の影が渚王国を暗く覆い始めた夜、ピットは、国王である兄・渚大治郎との協議を終え、深い決意を胸に秘めながら王城を後にした。貴族たちの秘密会合に関する確固たる証拠を掴むことが、今回の任務の鍵であった。これが成功すれば、王国の平和を脅かす陰謀を暴き、渚王国の未来を明るいものに変えることができる。

こくすけとやよいは、ピットの計画に沿って動き、貴族たちの動きを監視していた。三人は夜の帳が下りた王国の片隅で合流し、今夜の作戦について最終確認を行った。ピットは二人に向かって、静かに言葉を紡ぐ。

「どんなに小さな手掛かりも見逃さないでくれ。王国の運命が、この一夜にかかっている。」

彼らは、貴族たちが次に会合を開くであろう場所へと向かった。ピットたちは、闇に紛れて屋敷の周囲を慎重に偵察し、一つの窓から微かな光が漏れているのを発見した。窓の隙間から中を覗くと、貴族たちが何やら重要そうな書類を前にして話し合っている様子が見えた。

ピットは、この会合の内容を記録するために、特製の小型の記録装置を用意していた。彼は、こくすけとやよいに合図を送り、二人は周囲の警戒を強める。ピットは、ほんの一瞬の隙をついて、装置を窓辺に設置した。貴族たちの会話は、装置によってしっかりと記録されていく。

時間が経過するにつれ、貴族たちの計画の全貌が徐々に明らかになった。彼らは、王国の安定を乱し、自らの権力を拡大するために、隣国との関係を悪化させようとしていたのだ。彼らの企みは、国王である大治郎への直接的な挑戦でもあった。

会合が終わり、貴族たちが屋敷を後にすると、ピットは記録装置を回収し、こくすけとやよいと共に静かにその場を去った。彼らは、この証拠を大治郎に直ちに届ける必要があった。王国の未来は、この一件にかかっていた。

城への道のりは長く、困難だったが、ピットの心は決して揺るがなかった。彼は王国のため、そして愛する人々のために闇を払い、光を求め続けることを誓っていた。この夜の行動が、渚王国に新たな朝をもたらすことを信じて。