トリさんが大好きだあ

玄栖佳純

第1話 トリあえず

『トリ』さんが大好きで

『あえ』た日のことを

『ず』っと心に秘めていた


 上のあいうえお作文は間違っているのではないか。元々作文のルールよく知らないし。でも、そんな気持ちは持っている。


 トリさん(ぬいぐるみ)と出会ったのは、2017年のカクヨムユーザーミーティングVol.4だった。ネットで小説は書いていたけれど、それまで居たサイトに違和感を持ち、カクヨムはどうだろうかと、おっかなびっくりカクヨムユーザーミーティングに応募して当たったから行った。


 カクヨムがどんな小説投稿サイトかあまりわからずに行って、何か違うかもしれないと思った。

「十代、二十代の男子をターゲットにしたファンタジーを書いてください」

 ムリだと思った。ファンタジーの引き出しないし男子向けに書いてない。

 2017年の話だから今はどうか知らないけど。


 でも当時、いろいろスタッフさんからお話を聞いていただいて、やってみようという気持ちにはなった。

 その時、トリさんを抱っこさせてもらったことは大きかったかもしれない。


 テーブルに乗った丸くて大きなトリさん。しゃべることはなかったけれど存在感がでかかった。カクヨムさんでよく見かけるトリ。あのトリさんが、3Dになっていた。


 イラストそのままのトリさん。ぬいぐるみが先に居て、それであのイラストができたんじゃないかというくらい。完成度がかなり高かった。


 もしかすると、本当はあのトリさんが動いて、それがイラストになったのではないかという気すらした。だからあのトリさんのイラストは、後ろ姿までキュートなのではないかと。それくらい細かいところまで再現されていた。


 それをぎゅっと抱きしめることができたのだ。それまでイラストだったトリさんが、ぎゅっと抱えることができた。夢のようだった。とにかく可愛い。可愛いの権化。

 意外に硬くてしっかりしていて、身が詰まっている感じだった。


 虜になった。

 幸せだった。


 たった2時間だった。あのトリさんと同じ空間にいられたのは。

 私はあのトリさんが忘れられない。


 いつかまた。

 あのトリさんに会いたい。


 会えたらいいな……。


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