素敵なプレゼント

 若い男女がなにやら楽しげに話しながら広場にやってきました。男は次のようなことをしゃべりつつ、持っていたカバンから何かを取り出しました。


「今日はね、素敵なプレゼントをあげようと思うんだ」


 すると女は表情を輝かせて言います。どうやら、彼と彼女のようです。


「あら、何かしら」


 男の手には竹ひご、そしてビニール状のものが一枚。

 男は女の疑問に答えるように、


「凧をあげるんだよ」


 と言って凧を組み立てはじめます。

 男は、ちょっと待っててね、などと言いながら組み上げた凧を、風に乗せるように広場を走って空に舞い上げます。


 上空に高々とあがった凧には「素敵なプレゼント」の文字。


「ほらね、素敵なプレゼントをあげたでしょう?」


 すると女は残念そうな顔をして、しかしどこか嬉しげに、


「なんだ、つまんないの。わたしならもっと素敵なものをあげるのに」


「何だい? きみなら何をあげるんだい? まさか天ぷらをあげるなんてのじゃないだろうね」


「ははは、まさか。二人で結婚式をあげるのよ」


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