罪人ノレクイエム

吉。

第0話 始マリ

‐令和二年五月二十四日富山県高岡市内某アパート

205号室の郵便ボックスを確認すると一通の手紙が入っていた。

『叔父の秀輔だ。久しぶりだな岳斗君、元気にしているか?私は今ちょうどロシアにいるんだ。とても寒くてな、だがそろそろ日本に戻るよ。じゃあ本題に入ろうか。六月十日から東京に来なさい。もう県立高岡青陽高校には連絡している。前に謎のテストを受けてもらったと思うがそれは都内にある柊慧学園高等部への転入試験なんだよ。無事合格だそうだ。さすが佳輔の息子だな。もうマンションも手配済みだからな。しばらく落ち着かないかもしれないが落ち着いてな。』

叔父からだった。叔父からの手紙はあまり珍しくなかった。二か月に一回は必ず送ってくるのだ。理由は自分の近況報告だというけど中学から一人暮らしをしている俺のことが不安なんだと勝手に思っている。叔父は何の仕事をしているのかいまいちわからないがよく海外出張するほど忙しいからということで叔父はわざわざアパートを契約し心配だけどと言い俺を一人暮らしさせている。ほんとは一緒にいたいらしい。寂しがり屋なもんだと手紙を見るたびに思う。なぜ高一の始まったばかりのタイミングで引っ越しか甚だ疑問だが叔父の命令だから準備するしかない。偶然とは言いかねないくらい不思議にも引っ越し業者から日程などの書かれたものが郵便ボックスに入っていた。何か企んでいるのかと思うけど叔父はそんなめんどくさいことをしないだろう。そう決めつけ俺は自分の部屋の鍵を開けもう鍵を開けるのはあと数えられるくらいなんだと思い感傷に浸ってしまっていた。そして俺はリビングで制服を脱ぎ捨て私服に着替える。部屋に置かれた段ボールは引っ越しのためのものだと今になって理解する。早めに準備したいと気持ちがある中俺は家を飛び出した。自転車に乗り込み広小路駅へと向かう。万葉線に乗り込みこの地に眠る三人にお参りを引っ越し前にしよう。そうふとおもったからだ。米島口で降りた俺は霊園へと向かう。花を持ち生前彼が好きだったコーヒー2本と中尾清月堂のどらやきを手にした俺は水をかけ線香を置き祈る。引っ越すことと東京で頑張ることそして東京で友達か彼女を作ってここに来るよ。できれば定期的にも、と。そう語りかけた。多分笑顔だと思う。

家に着いた俺は一息つきホッとする。ローソンの明太子おにぎりと自作のモヤシ炒めを無造作に食べ風呂に入り宿題をし明日の予習をする。そんなここで過ごす日常の少なさを身に染みるのだった。しかしながらこんな濃い日からはあっという間だった。何もかもが。そしてその日は突然としてまるで何年振りかの旧友が近いからとかの言い訳をつけ来たかのように来た引っ越し業者が搬出を始めて一時間後に終える。この日は新高岡駅から富山駅まで行き富山駅付近のホテルに宿泊した。

‐令和二年六月十日午前九時二十六分北陸新幹線東京行は富山駅を発ち東京駅へ往く

窓に映るその景色は富山の豊かさとこの豊かさとの別れをよりしみじみとさせた。新幹線で寝てもいいけどしっかり上野で降りろよと前日にわざわざ電話をかけた叔父にはあきれたが珍しい新幹線ではあまり眠れない。何故なのかとは思いつつも俺は自宅の最寄り駅である東久留米駅までのルートと学校のある広尾駅までの半年の定期券を財布の中に入れ風景を見続ける。富山県から新潟県、長野県、群馬県、埼玉県を通ったこの新幹線は「まもなく上野、上野」そう知らせ急いで俺は準備をし上野で降り初めて東京へと来たのだった。急いで山手線ホームを探すもわからず人に聞きホームにたどり着く。池袋で下車し西武線改札へと向かう。東京は大変だな。そうため息をつきながらも東久留米駅に無事到着した。叔父曰く「引っ越しの搬入は俺がやった。ゆっくりしろよ。」だから俺は駅から五分ほど歩いた床にある新しい自宅に荷物を置き届いた荷物を整理した。その中には柊慧学園の制服も入っておりわくわくしてきた。三十分くらいしてから家を出て十分くらい歩いたところに偶然にもあった個人経営のラーメン屋に入店する。

「いらっしゃい。カウンター席にどうぞ。」

優しそうな店主が鈴の音がした瞬間言う。結構声が大きい。

「塩ネギラーメンと餃子」

俺は偶然にも目が入ったかつ好きだと思える塩ネギラーメンと餃子を注文した。

「はいよ。ライス無料なんだけど小と大どっちにする。」

「大でお願いします。」

疲れているのかもともと食べるのが好きなのかわからないけどふとそう言う。なんともサービス精神のある店だ。と楽しみにしつつ明日学校でのイメトレをしつつ俺は料理が届くまで謎に緊張して待っていた。五分くらいたったころだ。

「はい。お待たせしました。塩ネギラーメンと餃子と大ライスね。」

威勢のある声だがその中に優しさを感じる声だと人の優しさに飢える俺は思った。

「ありがとうっす。」

不思議と出た。やっぱりそのせいだろうか。

「おう。」

店長は笑顔だ。東京は勝手ながら冷たいところだと持っていたが意外とあったかく優しいものだとなぜか感心する自分がいた。富山の人の温かさに慣れているからだろうなのか。それとも。

翌日‐令和二年六月十一日慣れていないせいか午前五時に起きてしまったためいつもより長く髪のセットをし自炊し慣れない制服を着る。しばらく続く慣れない尽くしにいつか慣れてしまうということに不思議にも驚きつつ予定より早く家を出た。

慣れない道に戸惑いつつも何とか東久留米駅に着いた。池袋行きに乗り俺の東京青春大恋愛モテモテ生活が始まる。そうおもいつつ乗車した。スマホを見ていたが本が読みたくなり読書をしていたらいつの間にか池袋についていた。

「丸の内線てどこなん。あそこか。」

ふと出てしまう声。だけど標識に従い歩いているとたどり着く。東京ってスゲーなと謎の関心をしつつ丸の内線に乗車し霞が関を目指す。満員電車になれないためか少しどころかかなり富山に帰りたいそう思ってしまう。

「まもなく霞が関。霞が関に到着しました。」

人を掻き分け電車から降り日比谷線ホームを目指す。中目黒行きの電車に乗りドキドキしながらも広尾駅で下車。俺の青春の始まる鐘の音が心の中で響いた。突然として思い出す。まず職員室に行くということに。

「失礼します転入生の近江岳斗です。」

「君が近江君。私は1年C組担任の八幡源です。これからよろしく。」

優しそうな男な先生だ。多分運動部の顧問なのだろう。そう思えるほどいい体。

「私が紹介するから入ってきてね。普通でね。緊張しなくていいから。」

「はいっす。ちょっと今は緊張してます。」

「だよね。引っ越しって大変だしね。頑張って応援してるから。」

色々語りかけてくれるなんて東京には温かい人が数少なくともいると改めて実感した。

「八幡先生て優しいんですね。カッコいいですし。」

「お世辞はやめてよ。ありがとう。」

「お世辞じゃないですよ。」

そういううと先生は少し照れ

「近江君もカッコいいよ。これ見た感じ頭もいいし足も速いんだね。」

「そんなことないですよ。照れますよ。」

どうやら先生は陸上部の顧問らしく目がついいってしまったのだとか。俺にとっては何か嬉しかった。

チャイムの音が学校に鳴り響く。

「近江君リラックスしていくよ。」

「はい。」

不思議にも緊張が解け俺は1年C組の教室へと一歩ずつ歩む。

「ここで待っててね。」

そういい八幡先生は教室へと入っていった。

「皆さんおはようございます。今日は快晴ですね。そんなことで突然ですが今日から転入生がうちのクラスに来ます。みんな歓迎してください。」

「はい」

「入ってきてくれ。」

先生の声とそれに応じる頭がいい学校の一クラスと思えるような活気あふれる挨拶が微かにも聞こえる。俺は教室のドアを開け入る。緊張を捨てて

「富山県より転入してきた近江岳斗っす。仲良くできたら嬉しいです。突然ですがこれからよろしくお願いしますっす。」

俺は途中噛みながらもはきはきと言えた。拍手と笑い声が飛び交い少しほっとした。

「近江はあそこだな右から二列目の後から一番目。黒石の隣だ。」

「了解っす。」

隣女の子かよ嬉しいと思いつつも俺は冷静にその席へ向かう。途中によろしくと言われなんか嬉しくなっていた。

「近江岳斗です、よろしく。」

「黒石結希です。近江君よろしく。」

優しそうだしかわいかった。そして一息ついた瞬間

「俺、池上、池上孝大。近江、よろしくだぜ。」

「池上、よろしく。」

いい感じのやつだ。なんか緊張が和らいできた。

「そうだ。近江。後で俺が学校案内するよ。」

「まじ。嬉しいわ。頼むわ。」

「あたぼーよ。」

その元気さについ笑みがこぼれる。心に余裕の隙ができる。池上に学校案内をしてもらうは黒石さんと食堂でご飯を食べるはで楽しい一日が終わった。コミュニケーション能力があまりないと自負する俺にとってはかなり頑張ったほうだ。

‐令和二年六月二十四日午後五時三十二分東京都東久留米市東久留米駅

不自然に引っ張られていく。何故なの、だろうか。そこには謎のモノがありこの世のモノとはまともに思えない。突然とし俺の手はそれに引っ張られる。禍々しいそれに俺の手が入る。何か体の中に魂が入っていく。突如として声が体の中でこだまする。

「おまえか。おまえはディザイア<レクイエム>だ。今日からな。わしはギルティだ。わしのもつ罪過と《パニッシュメント》を与える。永遠にな。」

「は、はい。」

どういうことかわからなかったが家に帰り整理すれば俺はどうやら戦うことができるらしい。罪過は基礎能力を上げたりなどをし拡張能力を持ちパニッシュメントは黒の剣を手から生み出す。様々なモードをもつのだとか。なるほど。意味わからん。だけど俺の生活はまったくもってわからなかった。それなのに。

‐令和二年六月三十日午後五時五分池袋駅構内にて俺の腕が誰かの手につかまれた。ぐっと、力強く。後ろを振り返ると女子高生が立っていた。逃げ出そうとした瞬間だった

「あなたがレクイエムね。やっと見つけた。どれだけ探したと思っているの。」

「何故それを知っているのですか。俺殺されますかあなたに。」

恐れずに放った。

「殺さないわ。私は。でも天聖本部はレクイエム、君のことを追っている。私の名は星華女学院高等学校二年の桜庭舞乃。魔術庁の組織ルークのリーダー。とりあえずこっちに来なさい。」

俺はそう引っ張られカラオケボックスに入れられた。

「魔術庁はねまあ国の秘密組織なの。ルークは依頼などを主に行うチームよ。」

「はぁ」

何かわからない。何の話かまったくもって。でも理解できた頃がある。俺は命を懸け戦わなけらばならないことだ。

「君はルークのメンバーになってもらう。一応データはもらっている。近江岳斗ていうのね。」

「はい。凡人ですいません。力になれるなら。」

遠慮気味に言ってしまう。

「あなたはすごいのよ。適正者だしレクイエムだし。頭脳明晰、運動神経抜群、容姿は整っている。」

「でも俺は外面は磨けても内面は磨けてないですよ。コミュニケーション能力はまるでないどころか成長無い。富山にいたときは良く陽キャに馬鹿にされてました。でも悔しいから僕は努力したんですよ。外面ですけどね。」

なんかメンヘラみたいなこと言ってしまった。

「あ、忘れてくださいっす。さーせん。」

「すごいね、努力して。偉いね。」

かわいい感じで言われ謎に照れかけ

「て言われたいて聞こえたんだけど。」

「いや、そういう魂胆じゃないんで安心してっす。」

咄嗟に焦りつつも言う。

「まあいいや。ライン交換とかもしたし。君は今日からルークのメンバーだから。魔術庁は一応霞が関にあってルークの本拠地もそこにあるから。毎日来てね。一人暮らしぽいから偏食っしょ。それもあるだろうからね。」

「ああ、俺自炊してます。」

「まあそれはいいから行くよ。」

そう言われカラオケボックスを急いで出て家へと帰る。何故だろうどこから俺は、そう思いつつ俺は裏の世界に一歩踏み出した。

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