⑨『うなぎのあぶら』長尾たぐい<RN評>

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  うなぎ食べたくなるで賞

      by rin

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◇りん評


うなぎ食べたくなりました!


「本日、私たちはこれだけの不当な虐殺を行いました」

「鰻は私の部屋に置かれた大きな水槽の中でひそりと暮らすことになった」

おかしみのある、印象的なフレーズがちょくちょく出てきます。センスあるなあ、と唸りました。

うなぎを強奪する女性の図を想像するだけでもう笑えます。

「鰻の血を抜き、腹を割き、臓物を取り除く」

ここがいちばん好き。

部屋で必死にだんだんやりながら、うなぎと格闘している鬼気迫る姿が目に浮かびました。

なかなか落ちないおひつのあぶらは、高級感を醸し出すための苦労だったんですね、きっと。


◇ノラン評


映像にしたい! ドラマにしたい! 見せ場ありすぎ。構成がうまい。対比構造がうまい。会場に笑いが起こった!

これ、公募ガイドオンラインの「小説でもどうぞ」あたりで、お題に「うなぎ」がきたら入賞しちゃうんじゃないかな――と思った一作でした。

意識して書かれているかわからないのですが、文章の中ではとにかく動きを出せ、といいます。自然とかける人と、書けない人がいます。

人物が棒立ちで、話している。これがスピード感や臨場感の出ない要因のひとつです。興味をそそりません。


こんな話、興味しかない!


そしてその「場」と「場」を繋ぐ、一行が、これまたセンスある。


「つまり、時間の問題だったのだ。」


これが挟まれた瞬間、私の中で優勝候補になりました! え、で、結局誰がノラン的優勝だったかって? それは言えないなあ。


部屋の中でうなぎを飼う羽目になった女が、パート先の職場で虐殺を続けるシュールな日々。あー、おもろ。


終わりは落語然。

おあとがよろしいようで。


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  ちょいと一席沸いたで賞

      by noran

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https://kakuyomu.jp/works/16818093073908145908

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