フルーツ・バスケット

アオイロノペン

第1話 小さなリンゴ

小さなリンゴは

かわいそう

小さいからと

残されて


小さなリンゴは

流しのすみに

転がされ

首をかしげている


小さいけれど

赤いリンゴ

まち針のようなヘタも

白い斑点も

大きなリンゴと

なにも変わらない


わたしはリンゴを手の上に

くるりとまわして

鼻を近づけた

食べてもいいよと

香りがした


小さなリンゴ

皮をくるくる剥いて

三日月みたいにカットしたら

わたしもわたしも

って なんだよ皆

食べるんだもんな

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