スーパーカブに乗る異世界の郵便屋さんは冒険がしたい。
げこすけ
第1話 プロローグ
霧深い山道、一台の郵便屋さんのスーパーカブが走っていく。
なだらかなカーブを気持ちよさそうに走り抜けていく。
一つの集落にたどり着き古びた家の前で止めるとハガキを一枚持って軒先まで歩いていくと、霧の中から三匹の犬の顔がこちらを見ると人懐っこくその青年に近づいてきた。
青年 「よしよし、ダメだって。お前らのご主人さんにお届けもんだからよ。遊ぶのはあとだ。」
家の軒先から老人が出てきた。
青年 「ドートルさん手紙だよ。いつもの息子さんからのかな?」
ドートル 「いつもご苦労さんじゃな。お茶でも飲んでいかないか?」
青年 「悪い。まだ、配達残ってんだ。
また今度もらうよ。」
「ウォン!アオーン!!クオーン!!」と我慢できずに犬達が飛びついてきた!
「うわっっ!なんだよ⁉︎ハハハハ脅かすなよ!!」と犬達の頭を撫でると、家の周りを囲っていた霧が晴れて犬達の姿が現れる。
いや、正確に言うと犬達じゃないな。
3頭の持ち主 ケルベロス
「ケルベロスも子犬から飼うと人懐っこくてかわいいもんじゃよ。リオン。お前さんも飼ってみたらどうじゃ?」とドートル爺さん。
番犬がケルベロス?
そう、ここは読者諸君のお馴染みの異世界。いわゆるファンタジーな世界。
こんな異世界でも郵便屋さんってあるんだよ?
これはそんな異世界の郵便屋さんのお話さ。
「リオン!あまり飛ばして転んだりするなよ!」
「ありがと! 心配しなくてもそんなヘマしねーよ」
と、次の家に向かってアクセル全開だ。
リオンって名前は冒険者だった親父が付けた名前だ。
「ライオンの様に強く勇ましい勇敢な男に育つんだぞ!」
そう言って俺を抱きあげて遊んでくれた記憶は昨日の様だ。
当然俺も冒険者の端くれ。親父譲りの探究心は熱が冷めることは無い。
だけど…
冒険って金掛かるんだよね〜
大都市ヘリオス。
各国からの冒険者達が行き交う街。その街の中心にはドドンとヘリオス城がそびえ立つ。
そのヘリオスを囲む様にモンスターが巣食う森林もあれば、その森林を利用して住んでる人達もいる。
このヘリオスの1番の目玉はお馴染みのダンジョンだ。
アグーの森から入るダンジョンは入り口は寂しい洞窟なんだけど、中に入ると巨大な空洞。そこから最深部までのルートに、どういう原理かちょっとした森や川もあれば城まである。と、いっても古城だけどね。
まあ、この世界でも景気不景気ってのがあって、バブル期に時の王が自分の権力を見せたかったのかな?街人たちや旅行者達が遊べそうなアミューズメントパークとして作ったらしい。
で、その後バブルが弾けて、あとは廃れて廃墟になっていったわけ。
で、ちょうど良いやって感じでモンスター達が蔓延る様になったわけ。
最初は住み着いていくモンスターもほったらかしにしていた王様なんだけど、どんどん数は増えるし、人の危害も出始めるし、流石の王様もダンジョン内のモンスター討伐のおふれを出した。
すると、他の国の腕に自慢のある冒険者達やいろんな種族も集まり出して、今や「冒険の街ヘリオス」とまで言われるまでにもなった。
これを見逃さない王様では無いね。
これは金になると。
なんと、この王様ダンジョンへの通行料を取り出したんだ!
* ダンジョンへの入場料。
* 各階層ごとの通行料。
* お得な10階層までのセット券。
* 20階層から最下層までの上級者向けセット券。
* 初心者向けのガイド付きの特別プレミアムチケット。
* 年間パスポートなんて物もある。
そう…
冒険すんのも金が掛かるんだよ。
で、その冒険資金を稼ぐために郵便配達でバイトしてるってわけ。
ヘリオスの周りにはたくさんの集落があるし、ダンジョンの中に住み着いて商売したり生活してる人達もいるから、手紙や荷物を届けるだけでも結構な稼ぎになる。
と、いっても雇われの身なんだけど。
長々と読者諸君にこの世界の事を説明してる間に今日の配達が終わったんで「トム爺の郵便屋さん」に帰るとするか。
あー早く次の冒険に行きたいなあ。
でも、なんだか久しぶりに冒険の予感はするんだよね。
俺のカンは当たるんだ。
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