ワタクシこそがトップに立つのですわー!

@masata1970

プロローグですわー

第1王子殿下と婚約者(親友)が事故死しましたわー!

 ワタクシはエリーゼ・ライヒベルク!この国唯一の公爵家の令嬢ですわー!

 今日も元気に勉学ですわー!武術ですわートップになるためにあらゆる努力は欠かせませんわー!

 第1王子婚約者を狙っていましたがダメでしたから一層の努力が必要ですわー!


 まぁ、第1王子婚約者になったアーデルハイドはワタクシと同レベルの才女!

 頭脳では勝ち越し!もちろん武術も!アーデルハイドは護身術しかやってませんでしたわね……これで勝ちは卑怯ですわね……。

 頭脳で勝ち越し!頭脳では勝ち越しですわ!

 まぁ、愛嬌では確かに負けたかもしれませんわー……政治のパワーバランスの上でも仕方ないとアーデルハイドに励まされましたわー!だからワタクシは政治云々を抜いても選ばれないワタクシが悪いのであってアーデルハイドを恨むのはお門違いですわー。


 でも、アーデルハイドは第1王子に懸想をしてたみたいだし良かったですわー!

 ワタクシは第1王子自体はどうでもいいのですわー。アーデルハイドを側妃において愛を育んでくれても良かったのですわー!堂々と言ったからダメだったのかもしれませんわ……


 親友のキャスにも行動を起こす前に一拍置けとかよく言われますわー。ワタクシのことはよく理解してるので参謀役ですわ!さぁ!第1王子の婚約者から漏れた場合に何をするか言ってくださいまし!


 言ってくださいまし!


「いいますわよね?」

「何がですか?」


 わかってくれませんでしたわね……。

 このワタクシとお茶を飲んでいるのはキャスリーン・イデリー伯爵令嬢!親友ですわ!ワタクシの参謀として辣腕を振るってくれるんですの!愛称はキャス!仕切り直しましたわ!丁寧に説明したのでこれでいいですわよね!?ね!?


「と、いうことですわ、言ってくださいまし!」

「……何をですか?」


 ダメでしたわね、ツーカーの仲を目指してるんですけど……。

 これからですわね!まだ友人になって6年くらい?いずれは目線で会話したいですわー!それはそれでつまんないですわね……

 やはり人間は知性のある生き物、会話が必要ですわ!


「ということですの?何かありますか?」

「脳内で解決せず言葉に出していただけますか?人間には知性があるので会話という手段があるんですよ?」

「わかっているじゃありませんの!」


 やはりツーカーの仲ですわね!そもそもツーカーってなんでしょう?

 別にいいですわー!今大事なのはキャスリーンが私の考えたことを理解したこと!これが一番大事ですわー!


「……私には何もわからないのですが?」

「ワタクシにはキャスの心意気がわかりましたわ!」

「…………そうですか」


 諦めましたわね、なんで諦めたんでしょう?

 それも親友同士ですわね!万事解決!私達の友情はこれからも続きますわ!続く!

 あーらメイドが早足できましたわー、はしたなくってよー。


「失礼します、エリザベス・アルベマー伯爵令嬢が急遽お会いしたいと」


 先触れもなしだなんて珍しいですわねー。大事に違いあり得ませんわ!

 これは……『王宮の陰謀~第1王子は宰相の息子~』の新刊が出たんですのね!

 まさか第3王子まで宰相の子供だとは……宰相を排除するために尽力していた第2王子が不義の子だと判明して廃嫡されたんですわよね。

 まさか宰相の政敵だった財務大臣が王妃との不義密通罪をかけられるとは思いませんでしたわー!第2王子と同時に政敵を始末して宰相が盤石となった中で留学中の第4王子が帰国したとこからなんですのよね。財務大臣令嬢と婚約が破棄され傷心の第4王子が……早く読みたいですわ!


「先触れも伝令もなしに?」

「別にいいではありませんの、緊急ということですわ」

「緊急であってもそれくらいはするべきです!そもそも先触れとは……」


 ガミガミ言ってますわねー。ワタクシに言ってもしょうがないと思うんですけどー。

 細かいですわねぇ……礼儀に溺れて肝心なことを見落としますわよー。それくらいの判断はできるわよ?ベスは。


「そんなことよりベスですわ!」

「そんなこと!?」


 口に出してしまいましたわー!キャスがみるみるうちに真っ赤になり始めましたわ……怖いですわ……。怖いと思ったら近寄らない、これも処世術ですわ!

 ワタクシの家だから逃げ場がないですわね……

 ベスがものすごい勢いで走ってきますわー……いい知らせではなさそうですわね。



「失礼します!ご無礼を承知で人払いを!ゲホッ!ゴホッ!」

「ベス!!急に来てそのような……!」

「モリー、ベスにお茶を、そして人払いを」


 よっしゃあですわ!矛先が変わりましたわー!

 もうお茶を置いていなくなりましたわね、さすがは公爵家教育が行き届いてますわー!


「それでベス?なにがあったのかしら?キャスも緊急時は別ですわ。暗殺者がいる報告をするのに先触れで警告を出して、到着して警告出そうと思ったら死んでたでは話になりませんわ」

「その場合は伝令を出すのです!」

「暗殺者がいるから気を付けてなんて伝えづらいこともありますわー」

「…………確かにそうですが、それほどの報告だとも思えません!」


 そうかもしれないじゃありませんの!この国唯一の公爵家で令嬢ですわよ!唯一ですわよ!不義の子がいなければ!

 そりゃあ暗殺者の1人や2人くらい来ますわよ!そしたらワタクシの剣で返り討ちですわ!

 ベスがお茶を楽しんでる間に猛獣キャスをしつけますわ!えいえい!


「なにか変なこと考えてませんか?」

「考えてませんわー!」


 なんでバレたんですの!やはりツーカーの仲、実は心が読めるのですわね……

 今度の夏くらいに流行りの避暑地に行きませんこと?


「…………」


 避暑地に行きませんこと!?


「…………?」


 ダメみたいですわね、追々できるようになっていきましょう!ワタクシ達の友情はこれからですわー!

 ベスの息も整ったみたいですし話を聞きますわよ!ふんっ!


「もう大丈夫ですわー!人払いは済みましたわー!」

「……王太子の儀のため建国地ロンドニへ向かっていたフリードリヒ・サミュエル第1王子とアーデルハイド・ブランケット侯爵令嬢がマルバッハ男爵領で事故死なされたとのことです」


 マジですの?


 マジですの!?

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