第4話聖女side

「ラムズ ランサー殿はゼロであります!」


私、ミーシャは今驚きの光景を見ていた。


成人の儀の最中に白銀の髪をたなびかせた少年が崩れ落ちている光景だ。


よく見てみるとそれが昔一緒に遊んでいたランサー様だと分かった。


ランサー様とは家同士の付き合いで何度か会っていた。


そのランサー様が嘲笑われているのは私には理解できなかった。


いつも明るく元気溌溂だったランサー様が今は顔を塞ぎ込んで顔色が悪そうに見え、体調が悪そうにフラフラと歩いていくのが見える。


「なぜランサー様が嘲笑われているのですか?」


「恐らくですが彼は精霊が付いていなかったのでしょう。可哀想に、、」


ふとつぶやいた事を今日の護衛騎士である高身長の大人の女性といった風貌のサーシャが答えてくれた。


しかし私はその答えに納得がいかず、

「そんなはずありません。ランサー様には多くの精霊が付いているのですよ!」

と強く言い過ぎた形で言ってしまう。


だが、無理もないだろう。


彼には多くの精霊が付いている、恐らく私より多い。

今だって彼の周りには100匹ほどの精霊が飛び回っている。


聖女は精霊から祝福された者だけがなれるもので聖女に付いている精霊よりも数が多い事は歴代でもあり得ないことだ。


私は彼と初めて会ったときその多さに驚愕して彼に対して嫉妬してしまったのだ。


そんな彼がゼロの判定を受けるなどあってはならないはずだ。


彼女は「えっ?」素っ頓狂な言葉を漏らして驚いている。


私はこうしてはいられないと急いで司祭の元へ行き、「彼の成人の儀をやり直してください‼︎」と講義の声を上げた。


しかし,司祭には「機械は正常に作動しておりました。幾ら聖女様でも成人の儀のやり直しなどできませぬ」と聞き入れてもらえなかった。


機械は大昔三人の賢者に造られたもので誤作動など一度もなかった。


だが、その信頼が今はもどかしい。


その後も講義しようと思ったが、そこでランサー様がいないことに気がついた。


ランサー様を追おうと外に出るとラムズ家の馬車が走っていくのが見えた。


「ランサー様‼︎」


無情にも馬車は止まらずに走り去ってしまった。


それから急いで家に帰ると難しそうな顔をしながら書類と睨めっこをしている父がおられた。


父に今日の話をするといきなり机を叩いて怒り浸透の表情を露わにした。


「あの人の忘れ形見になんて事を!!」


「直ぐに彼を探すのだ‼︎」


父の号令によって捜索が始まったが、その日のうちには見つかりはしなかった。


次の日は私も捜索に加わったが成果は得られなかった。


諦めて馬車に乗り,帰っている途中で突然馬車が止まってしまった。


どうやらそこでなぜか馬車が故障してしまったようだ。


仕方なく外に出ようするといつも付いていた精霊が中に入って私に付いてきた。


不思議に思っていると別の一体の精霊がまるで私を誘い込むように飛んでいってしまう。


急いでその後を追っていくと大量の精霊に付かれた見覚えのある人影が見えてきて私は思わず声をかけた。


「大丈夫ですか?」



➖これにて前日譚は終了となります。

これから本編が始まりますが出来るだけ毎日投稿できるよう頑張ります‼︎

次の日に投稿出来ない場合は連絡いたします。

初めて書く小説に手探りになりながらも書いたのでフォロー登録、コメントしてくださると幸いです。

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