第9話 砂漠の国の女王をわからせた!
瀕死の俺たちは幻覚が見える方へ向かってみると、砂漠のど真ん中だというのに巨大な城郭がそびえ立っていた。これが本当の砂上の楼閣というやつか。
城門をくぐると内部はオアシスのようになっていて、俺たちはようやく喉の渇きを潤すことができた。
「ここはどこかって? そんなのもわからないって、これだから氷河期は♡」
「ここは砂漠の国メスシス♡ その昔、わからせられた女王イマーラ様が作った王国だし♡」
「砂漠の東にはビラミッゾと呼ばれる歴代女王のお墓があるんだってさ♡」
「ビラミッゾには《メスガキのカギ》っていう、メスガキのことなら何でも開けちゃうカギがあるみたい♡ ま、おじさんたちには必要ないか~♡」
「は? ビラ見っぞ?? やれるもんならやってみなよ♡ ざこだしムリでしょ♡」
「あたしらにちょっとでも触れたりしたら、事案で即逮捕だからね♡」
城下で住民にあれこれ聞いて回っていると(いずれもメスガキでわからせ済み)、城から女王の使いの者がやってきた。なんでも勇者パーティーである俺たちに会ってみたいのだという。ここの住民から察するに、どうせ女王ってのもいかにもなメスガキなんだろうな。
「あたしはメスシスの女王クレオスパンティーラ♡ ねぇちょっと聞いて~♡ みんながあたしのことをメスガキだって言うんだけどさ~、それって失礼じゃね?♡」
謁見の間で拝謁した女王がいきなりそんな風に話を切り出してきた。
エキゾチックな顔立ちをしているせいで少し大人びて見えるものの、それでも身長や胸のふくらみ具合からみて、第二次性徴前半といった年齢くらいだろう。
「いやあの、普通にメスガキだと思いますけど?」
「ちょ、ざけんな~♡ もしそうだとしてもちょっとはオブラートにつつめよ~♡」
俺は思った通りの感想を述べると、クレオスパンティーラは玉座でけたけたと笑った。おい、そういうとこやぞ?
「つーかさ、お前らって日本から来た氷河期なんだろ?♡ 見たところジジイやババアもいるし♡ お前ら絶対に童貞に処女じゃね?♡ だよね、だよね?♡ ウケる~♡」
「キーッ、何ですって!? 何なのこのメスガキ! ねぇコドージ、こいつわからせちゃって!」
ババア呼ばわりされたトヨーコが敏感に反応してヒステリックに叫んだ。
もちろんそれはお前に言われるまでもない。だがもう少し、情報収集がてらこのメスガキ女王との会話を楽しみたい気分でもある。
最近、俺は学んだのだ。ただ単にメスガキの言動に腹を立てても、それは相手の思うつぼだと。それよりも最初は自由に煽らせて、メスガキのポテンシャルを最大限に引き出してやる。そうやって存分にイキらせてから一気にわからせる。その方が、よりわからせ感を得られるのだと。
この辺りの機微はシコルやヤライソも十分に心得ている。そこで俺は二人に目配せすると、シコルがトヨーコを後ろから羽交い絞めにして、ヤライソが手に持つ杖の先で彼女の腹をひと突きして気絶させた。
「アハ♡ うるさいババアを黙らせたってわけだ~♡ やるじゃんお前ら♡ で、これからどうすんの?♡ もしかしてあたしのことを三人で襲っちゃうとか~?♡ まぁクソざこのお前らにそんなことできやしないか~♡」
足を組み肘掛に片肘つきながら蔑んだ笑みを浮かべるクレオスパンティーラ。だが、このくらいの煽りはまだまだ屁でもない。
「あ、わかった♡ お前らあれだろ、ビラミッゾにある《メスガキのカギ》が目当てなんだろ?♡ おっさんのお前らには必要ねーじゃん♡」
確かにその通りなのだが、まだまだ煽りが足りないぞメスガキ。もっと俺を煽ってみろ。
「つーかお前らクソざこなんだし、ビラミッゾに行くのはやめとけって♡ あそこの罠ぱねーしマジ死ぬから♡ あ、でもお前らはもう社会的に死んでるようなもんか~♡ アハハハハ♡」
ほう、いい煽りだ。そろそろこっちも温まってきたぞ。さ~てそれじゃあ、ビラミッゾへ行く前にお前のビラ見っぞだ!
俺は《わからせ棒》を使った。
「うわっ、キモ! そんなの近づけんな! やだ、マジムリだから! ちょ、やめ……、いやあああああ!」
俺は《わからせ棒》を使った。
「くふぉあ゛あ゛あ゛……、ッつ……、あっ、あ゛んッ、い、いたっ……、い゛い゛い゛……、あんっ、あ゛ッ、んぁ、はんっ、あっ、ハッ……♡」
俺は《わからせ棒》を使った。
「あ、あたしにこんなことして……、あんッ♡ あ゛ひッ♡ ……の、呪ってやる……あッ♡ ん゛あっ♡ ふひッ♡ ぜ、絶対呪ってや……はああ♡ あんッ♡ ハッ♡ あ゛んっ♡」
俺は《わからせ棒》を使った。
「ひゃん♡ あッ♡ ハッ♡ あ゛ッ♡ ふひっ♡ お゛っ♡ ホッ♡ んあ゛っ♡ もっと……、あんッ♡ はんっ♡ も、もっと……、はああん♡ あひッ♡ ひうっ♡ もっとお願いひまひゅううううう♡」
こうして俺はクレオスパンティーラをとことん煽らせておいて、そこから徹底的にわからせたのだった。
「おいコドージ、ワシらも女王をビラ見っぞしてわからせたいのじゃが……」
わかってる、わかってるって。そう慌てなさんな。
ヤライソやシコルがもう待ちきれないといった顔をしているので、アヘ顔で横たわるクレオスパンティーラを好きにさせてやった。
「お前ら、これまでここにやってきたどの氷河期おじさんよりも少しはやるじゃん♡ まぁそこのジジイと僧侶はざこ過ぎて全然物足りなかったけど~♡ アハハハハ♡」
クレオスパンティーラからわからせのダメだしをくらい、ヤライソとシコルはしゅんと肩を落とした。二人とも、ドンマイ。
そこで俺は、まだ生意気な口を叩く余裕のあるクレオスパンティーラに追い《わからせ棒》を加えて再度わからせた。
その後、俺たちはビラミッゾの内部構造や罠の解除方法などを聞きだし、難なく《メスガキのカギ》を手に入れたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます