6
荷運び。いわゆる、雑用係である存在。大遠征はもちろん、パーティーで長旅をすれば、必ず一人や二人が付きもの。
影の助っ人、目立たないパーティーの支柱、雑用係はとても重要な役割と言ってもいいほどの存在だと……いうことらしい。
「はぁ……はぁ……」俺はそんなとても重要な役割と同じ重量の荷物を背中に背負って、山を登っている。
「はぁ……はぁー」そして、俺は次の傾斜面を登って、やっと平坦な地面にたどり着いた。
俺は跪いた態勢でぜぇぜぇと息をしながら、休憩している。とろこに、視線の先に黒い靴が発見した。その靴を履いている主人は見るまでもなく、俺はすでにわかっている。それでも俺は視界を上に映し、その人の全貌を自分の視野に収める。
俺がたどり着いた先に、すでに蒼白で無表情な彼女が前に立っていて、虚ろな視線で俺のことを見つめてくる。そう、死霊術師である彼女は透き通るような声で俺に話しかけてくる。
「お疲れ様……昼ですが、よく頑張りました。」
「はぁ……それだけ?」まだ息を切らしていながら、彼女に言葉を問いかける。その返事はとても冷たいものだった。
「それだけ......それとも、休憩しましょうか?」
「そうさせていただきたい。」
「わかりました。」と彼女がそう返事すると、静かに俺の隣に座っていた。
俺もちゃんと景色を楽しむつもりで、身の方向を転換した。
周辺を見た感じ、山腰の峠の景色だ。稀少な葉がついている何本の木が立てられている以外、ほぼ何もない。逆に下を見れば、全然木に阻まれていない視界の先に広大な草原が広がる。緑色が点在し、広大な画布に描かれているような景色、明確に壮観と言える。
俺はこの壮観な景色を見て、記憶が勝手に思い浮かぶ。
冒険が始まる以来、もう半年が経った。
俺たちの旅は――あるいは彼女が称している“冒険”は、ずっとこんな感じだった。
山を登り、川を越える。草原も越えて、盆地にも潜る。時々小屋に滞在し、フードを被って町に留まる。
正直に言って冒険らしい逸話は、一つもない。
はっきり言って、冒険というより、旅行だろうなと自分でも思う。
でも、変に無理に魔物と戦わせるよりよほどいい。
旅の途中、彼女は時々見かけた魔物についての生態の知識を教えてくれる。
……いや、むしろ彼女の見聞のほうが面白い。このことは彼女に伏せているが、実は俺はこっそり楽しみにしている。
今日は何の魔物の知識について教えてくれるだろうかって。俺は山麓まで直視できるほど滑らかな斜面を見てこう思った。
斜面は下に続いて、草原のほうに伸ばす。それで広がっていく。
「こう見れば、自分は大して登ってないと感じちゃうな……」
「……でも、いい景色でしょう。」
「……ああ。」
原始的な風景。風が吹くとともに、何の悩みも消えそうだ。
そして、俺たちの間、しばらく沈黙が続く。
先に話しかけてくるのが彼女だった。
「では、そろそろ行きましょう。」彼女が身を翻しているのを感じて、俺も思わず頭を彼女の方向に向いた。
「……早いな。」
「ええ。それは早めに移動したほうがいいですから。」
「え?どういうこと?」俺は荷物を背負って、彼女の近くに近づいた。
「この周りの木、少しずつ近づいてくるのを感じてませんか?」
「え……あ!」言われてから、確かに距離が縮められた気が……
「もしかして、これは――」俺が“魔物”という言葉を告げる必要もなく、彼女が「行きましょう」という一言だけ、全てを物語った。
そして、とても気付きにくいだが、彼女は小さく、小さく微笑んでいる気がした。
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