約束したかった未来

蓮明景音

約束

嫌なことは数を数えても減らない。そんなことを考えながらねこと戯れてる君を見る。

この暑い日差しの中無邪気に猫と戯れる君を見て。自分はなんてこんな馬鹿らしいことを考えているのか。そう思うとなんだか笑いがこみ上げてきた。

「ははっ」

「……なんで急に笑うの?」

「いや、まあ……」

君が猫と戯れている。そんなありふれた日常。ありふれた光景だ。けれども君はそんなのは日常と考えていない。

君と私の日常は全然違う。君にとっての当たり前は自分にとっての当たり前ではない。だから自分はその自分だけが当たり前だと思っているこの光景を特別に思っている。

「元気になったならさ、どこに行ったりなにを見たい?」

「星」

「それはなぜ?」

「だってここでは星すらも満足に見れないでしょう?消灯時間もあるし窓からじゃ足りない!外で気が済むまで見たいの!」

「ふぅ~ん」

自分が人によっては気分を悪くしそうな返事でも気にしてないのか、それともそんなことを気にしてられないくらい猫と戯れるのが楽しいのか。君は話を続ける。

「あ、でも海でもいいかも。」

「それはなんで?」

「え?なんかさ、海って広くて青くてさ。すっごく外を感じられるから!」

確かにそうかもしれない。こんな狭い世界は外から来た君にとっては窮屈だろう。

「私はね君とも見たいと思ってるよ」

「なにを?」

「星と海!」

君はそれが訪れるのがさも当然な顔をして言った。

そんな君を見てると本当にそんな時がくるを思ってしまう。

そんなことを考えていたのがばれたのか、それとも顔にでていたか。そんな気持ちを感じ取ったのか君は笑って続ける。

「じゃあさ、いつか君も私もここを出て外の世界に行ったら一緒に見に行こう!星も海も!」

君はそう約束してまた無邪気に猫と遊び始めた。

私はその約束を絶対に守れないだろうと思いながら、でもそれを悟られないように君と一緒に遊んだ。

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