第102話 成すべきこと

席に戻り一息つく軽くお酒を飲みながら話しだす。


佐々木 「我々は此れからどの様にすればいいのでしょうか?」

パパ  「正直に言うと分からない…話した通り異世界に行くまではごくありふれた家族だったんだ、いきなり異世界に飛ばされ向こうの生活に慣れて来た頃になって又地球に戻された。使徒だと言われても何をどうすれば良いか全くわからん」


佐々木 「一か月後に向けての対策をしなければ行けません何かアドバイスは有りませんか?」


パパ  「伊藤さんレベルの人ならゴブリンなら倒せるだろうな、オークは正直きついだろうな」


佐々木 「コブリンはどれ位の強さなのでしょう?」

パパ  「異世界の駆け出し冒険者が安全に倒すには3~5人位で一匹相手にするのが推奨されてる。向こうで言えば初めの頃に戦う魔物だな」


佐々木 「そのゴブリンを伊藤なら倒せると?」

パパ  「伊藤さんなら一人で行けるだろうな、自衛隊の精鋭の伊藤さんで1対1で倒せる位だ、此処のアーロ、前伊藤さんと模擬戦した子Lvだと思えば良いよ」

佐々木 「まったく希望が見えませんな…」


パパ  「コブリンは此方で言うゴキブリ見たいなもんだ。一匹見たら100匹居ると思えってな感じで繁殖力が強い、気が付かぬうちに増えて数が増えると上位種が出て来て手に負えんくなり氾濫が起き人を襲いだす、だがコブリン位なら銃も効果は有るだろうな」


佐々木 「銃が効果が有るであろう魔物はどれほどの魔物でしょうか?」

パパ  「実際にやって見ないと分からんが向こうで言う中級迄だろうな、オーク位までなら効果は有るかもしれんな」


佐々木 「弓矢やボウガンなどは効果が有るんですよね?」

パパ  「ただ弓を放つだけでは効果は薄いな、異世界では職業で補正が掛かりスキルを使って強化して居るんだよ」

佐々木 「では我々はただ死を待つだけに成りそうですね」

パパ  「神様がもう少し立てば役立つ力をくれると言って居ただろう?それに期待するしかないな、此処に住んで居る者ならば魔物の上位種が出たとしても協力して倒せるだろうが世界中の皆を救えるわけじゃ無いし救う気も無いしな」


佐々木 「私達に協力的にして頂けるのはなぜでしょうか?」

パパ  「この結界の中に入れる人は人間的に良い人と言うのかな?悪意が無い人しか入れないんだ、神様にも結界に入れる人は手助けしてくれって言われているし助けたいと思って居るんだ、なのでどんどん中に入れる人を増やして欲しいしその為の協力はしようと思う」


佐々木 「それはありがたいのですが中々ここ迄人を運び入れ替えながらするのには時間が掛かりそうですね」


結界だけならほしに頼めば何とかなるか、日本の各地に結界を作るのもありだなと考えて佐々木さんに提案をする。


パパ  「この結界は実を言うと増やせるんだ、都道府県に一か所づつ位なら出来そうかな?場所は任せるんで選定してくれ。移動も任せても良いかな?」

佐々木 「それは非常に助かりますね自衛隊はここで良いとして民間人はこのままでは全く試せない事に成る所でした、ぜひお願いします!」


そう言うと「この事を本部に連絡して手配を付けてもらいます!お前たちは今日は存分に楽しませてもらえ!明日から忙しく成るぞ!

では山内さん私はこの事を本部と相談して場所の選定、移動の手配などをしてきます、本日はお招きいただき誠にありがとうございました!」と言って足早に帰って行ってしまった。


近藤 「行ってしまいましたね…」

パパ 「随分と慌てて行ってしまったな…」

近藤 「最近はいつもどうすれば良いのかと考え込んで居ました、やっと光明が見えて来た感じですかね?」

パパ 「人の上に立つと言うのは大変だな、私には無理そうだ」

近藤 「またそんな事を言って世界の運命を握って居るのは山内さんなんですよ?」

パパ 「そう言われても困るな?私は今までは普通の家庭のパパやってたんだから」

近藤 「ほんとに災難ですよね、でも魔法も使えるんですよね?羨ましいです、ちょっと見せてもらえませんか?」


近藤にせがまれてパパは簡単な魔法を見せる事に、指に火を灯すと近藤が「オオーどうなって居るんですかそれ!」と大げさに反応をする、調子に乗って水を出すと又「オオオオー!」とカメラを回しながら水に触れる、「ほんとの水ですね!どこから出てるんでしょうか?」と面白い位の反応をする。


パパ 「少し訓練場に行こうか!そこならもっと色々出来るぞ」


少し酔って来たパパは近藤に煽てられて気分がよく成ってしまい色々とやって見せるのだった。


おとが何して居るのか気に成った様で此方にさきと歩いて来た。


おと 「パパ何してるの?」

パパ 「近藤さんにな、今後の参考に成るかと魔法を見せていたんだよ、おとも火剣見せてあげたら」と剣を渡す。

近藤 「今どこから剣出したんですか?」

パパ 「これも魔法みたいなもんだな」

近藤 「く~羨ましい!自分も魔法を使いたいです!」

おと 「じゃあ見といてくださいね」

そう言って剣に火を纏わせて矢の練習用の的に向かって飛ばす「バコーン!」と的が弾け飛ぶ、「すげーーーー!」と周りで見ていた子供も反応していた。

少しどや顔のおとが可愛く見えたパパだった。


自衛隊の鈴木さんが此方に来て話し出す「魔法とは凄い物ですね!見た目が派手でカッコイイ!」と音を見て目をキラキラさせている。


遠くから荒井さんが「鈴木ーお前の銃の腕を見せてやったらどうだ!」と叫んでいた、かなり出来上がっている様だ。


パパ 「銃撃って良いのならぜひ見て見たいな!見た事ないんだ!」大分テンションの高いパパ


近藤 「許可が無いとダメでしょうね~」

鈴木 「佐々木さんに連絡入れて見てくれないか?交流の一種と言って」

近藤 「聞いてみるだけは聞いてみますが期待はしないでくださいね」


近藤が無線を入れて確認をして居る、何だかすんなり許可が下りた様で小銃も持って来てくれると言う事だった。


鈴木さんが腰のベルトの銃を取り「これが9mm銃ですとあの的に向かって撃ってよろしいでしょうか」と聞いてきたのでパパが頷くと的に向かって「パン!」一発撃った。


パパ 「偉く簡単に撃つんだな~でも的の真ん中に当たって居る、良い腕何だな!」


関心して居るとおとが「もう一発撃ってみて!」と言うので鈴木さんんが「ではもう一発」『パン!』と打つと横からおとが走り込んで剣を振った!


パパ 「おと!危ないだろう!なに考えてんだ!」とおとを怒ると

おと 「弾斬った!やって見たかったんだ!」と此方にVサインをして居る。


まさか嘘だろ?と見に行くと地面に銃の弾が真っ二つに成って落ちて居るのだった。


鈴木 「まさかありえんだろう!横合いから走り込んで発射された弾を切ったと言うのか!?近藤今の映像撮って居たか?」


近藤 「全体的には撮って居ましたが切った瞬間は撮れていたか分かりません…」

パパ 「まあ普通に有り得んだろう…映って居たら奇跡だな」

さき 「又おと姉目立ちたがりなんだから!私も何か試したいな!」


さきが水の玉を出して「これに撃ってみてくれないかな?どうなるか試してみて」

パパ 「危ないから的の方に玉移動させて」

おと 「危ないからやめなさいじゃ無いんだ…」


さきが玉を移動させると鈴木を見る、鈴木が玉に向かって銃を構え『パン!』と撃ち込んだ、「ん?どうなったんだ?」皆で見に行くと水の玉の中を銃の弾が浮いているではないか「10㎝程の水玉を貫通出来んとはどうなってるんだ?」鈴木さんは驚いて居る。

近藤 「これが銃は効果が無いと言う根拠になってしまいますね…」

鈴木 「確かにこれでは効果は無さそうだな」


そう話して居ると自衛隊員が1人走って来た、鈴木に向かって敬礼をし小銃を渡すとまた走って帰って行った。

鈴木 「自衛隊員の標準装備の5.56mm小銃です」と銃を見せて来た。

さき 「それで水玉撃ってみて!」

鈴木 「流石に威力が違うので貫通すると思うのですが…」

皆が下がり鈴木が小銃を放つ「タン!タン!タン!タン!タン!」と5発ほど放つが貫通した様には見えなかった。


鈴木 「まさか全くダメなのか?」


皆で見に行くと拳銃の弾より長細い小銃の弾が5発分水の中に漂って居た。


さき 「これで銃も怖くない」と胸を張っているではないか。

鈴木 「確かにこれでは効果は無いですね、ですがスナイパーの様に気が付かずに撃たれたら咄嗟には反応出来ないのでは無いでしょうか?」

おと 「銃を撃つ音がしたら分かるから切れば良いよね?」

パパ 「それはお前にしか出来んのじゃないか?」


やはり地球に戻ってもうちの子は規格外だったようだ…

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