第99話 佐々木一等陸佐

駐屯地に戻り作業の進み具合を確認、補佐官に自分の指揮系統で動かせる自衛官をすべて集めるように指示を出す。

山内ひろと見て来た拠点についての報告書を纏め送信すると対策本部の幕僚長に連絡を入れ今回接触し分かった事を報告する。


山内ひろの人柄は高圧的に振舞っているが演技に見え此方の立場などに所々に配慮が見られる、砦の中も良く統率が取れている様に見受けられて慕われている様子だった、砦の中には人族の他に獣人族、エルフ族、ドワーフ族が生活して居る、他はドラゴンを始めとした魔物を複数飼って居る模様、砦には神により結界が施されており悪意や敵意を持つ者は弾かれると言う事、又結界に入れる者は出入りは自由にして構わないと許可を貰って居る事を報告し引き続き調査を継続しますと報告を終える。


報告を終えた佐々木は今この駐屯地に居る者100名を3部隊に分けて順番に結界まで連れて行き中に入れるか試させることに、順番に試させるが全体でも5名しか中には入れなかった…


翌日にはその5名を連れてパパの元に連れて行き紹介をする。

「山内さん結界内に入れるものは私以外はこの5名だよろしく頼みます!」

と順に紹介をする、右から「陸曹長の荒井です」『2等陸曹の鈴木です」「1等陸士の伊藤です」「同じく1等陸士の田中です」「2等陸士の松田です」と紹介をされた。


「階級は良く分からないがあなた達は歓迎しますよ。よろしく」とパパが答えると

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」と声を揃えて良い返事を返す、佐々木はパパの表情を見てほっとして居た。


ふと広場に目が行く、子供達が稽古をして居るのが目に入って来たのだ、佐々木がその様子を見ているとパパが「子供達が暇を持て余してな…稽古をしてるんだよ」と教えてくれた、剣や槍の稽古をして居る組、少し離れて瞑想?して居る組がある、奥では弓の稽古もしている様だ。

「見学してもよろしいでしょうか?」とパパに聞く佐々木。

「ああ好きなだけ見て行けば良い、何なら参加するか?お互いの世界の実力が分かる良い機会だからな」とパパが提案をしてきた。

今回連れて来た荒井と伊藤は特殊部隊の精鋭だ、残りの3名も優秀だと報告を受けて居たので佐々木は確認の為に5人に「参加してみるか?」と聞くと荒井はニヤリと笑って「ぜひ参加させてください!」と敬礼をする。

「では向こうに行こうか」パパに連れられて子供の元に来る自衛官、獣人の子供を見て驚いて居る隊員を見て佐々木は「まあ初めて見るんだ。しょうがないよな」と内心思って居た、パパが獣人の子供を呼んでいる。


「ポチ!此方は国の軍隊に所属して居る人達だ、訓練が気に成って参加したいそうだ誰か相手を選んでくれ!」

「パパさん誰でも良いのか?実力が分からないと危ないぞ?相手を選べない」

佐々木はまあそれもそうだと思いながら荒井に聞く「荒井聞いて居たな!どうする?」と荒井に問いかけると「伊藤!胸を貸して貰え!ポチさん手加減は要らない、この伊藤は私の部隊の中で一番の強者だ思いっきり来てくれて良いぞ」と自信ありげに答える!

「軍で一番なのか!それは凄いな!パパさん俺が相手しても良いかな?」とポチが目をキラキラさせて興奮した様子でパパを見ている。

「ああ~どうするかな…まあ良いか伊藤さん武器は何が得意なんだ?」

「軍では格闘かナイフです」

「短剣の木刀しか無いなこれで良いかな?」パパが木刀を出すと「剣道もやっておりましたので問題ありません!」と木刀を受け取って素振りをしている。


心配になり「山内さん子供の防具は無いのでしょうか?」と聞くと「う~ん要らないだろう、ケガしても直せるから思いっきりやってくれて良いぞ!即死しなければ大概は治せるから」

今の日本では考えられない事を言うパパ。困惑気味の自衛官、「分かった!ポチパパと少し打ち合おうか?初めてだよなポチと打ち合うの?」

「うん初めてだパパさん良いのか?楽しみだ!」とワクワクして居るポチ

「うんポチ手加減してくれ!」と苦笑いして居るパパだった。


パパとポチの稽古が始まって自衛官は絶句する事に成る、次元が違うのだ、目で追うのがやっと見失う事もある10分ほど打ち合うとパパの持って居た短剣が弾かれてしまった、「ポチは強く成ったな!もう私では相手に成らないな!」とポチを褒めているパパ「パパさん全然本気じゃ無いじゃないか!手加減されて勝っても嬉しくないぞ!」と不貞腐れているポチだった。


パパが此方を向いて「どうだったかな?」と聞いてくる。

荒井を見ると無言で首を振って居る、「山内さん異世界では皆このように強い者ばかりなのか?」と佐々木は聞く。

「ポチはかなり強いなポチに勝てるのは限られていると思うぞ?」その言葉に少し安心する自衛官達だが横で瞑想して居た者達を見て目を見開き驚愕する事になる。


子供が手をかざすとその先から火の玉が出て飛んでいき的に当たり弾け飛ぶ、その横では水を空中に浮かべているではないか!

呆然とその様子を見つめる自衛官達


「魔法を見せるのは初めてだったか、あちらの世界では才能のある子は魔法が使えるようになったり、剣の上達が早かったりするんだよ」

「私達の中にも訓練すれば使える様に成る者が居るのでしょうか?」と佐々木は聞くが「残念ながら今いる地球人の中には魔力持ちは居ないって神様が言ってたな、融合後生まれてくる子供の中には居るらしいぞ」

「それまで私たちの世界は持ちこたえる事が出来るでしょうか?」

「難しいかもしれんな、ある程度強い魔物や人間には銃は効かないだろうからな」

「そこの伊藤は軍の精鋭です。最強とも言って良い存在ですが異世界ではどれほどの強さに成るのでしょうか?」

「ポチ人間の子供達は訓練してからどれ位だっけ?」

「一週間たったかな?それ位だぞ」

「剣士の子1人選んで伊藤さんと訓練させてみて、お互い倒す気持ちで全力で行ってね。じゃないと実力が分からないから」


人族のオドオドした子供が出て来た、伊藤が私を見てくる頷くと覚悟を決めたのか引き締まった顔に成る伊藤、両者が向かい合い構えると「初め!」の声が掛かる。


伊藤は様子を見ながら待ち構える様だ、子供が走り寄り切りかかる、ギリギリその攻撃を躱すと反撃に持ち手を狙い短剣を振るう伊藤、半身に成りヒョイと躱す子供、お互いが切りかかり躱し防ぎを繰り返す、伊藤が余裕が無いのか蹴りを出したりし殴りに行ったりと体術を使い翻弄するが、子供も中々の物で上手く躱してしまう。

お互いが決め手が無く肩で息をしだした頃に「やめ!」の声が掛かり終了。


「これで分かって貰えたかな?この子は剣の才能が有るんだが剣を持ったのはほんの一週間前だ、伊藤さんはこれまでに死ぬほど訓練をしてきたと思うんだが異世界との差はそれ位あるんだ、異世界ではそれぞれ職を貰いそれに合った事をすれば一気に強く成り才能が開花する様に成ってるんだよ」


「これでは…地球の者達はどうやって生き延びれば良いんだ…」


「地球の神様がまだ何かしてくれる見たいなことを言って居た。今できる事を1つずつやっていくしか無いだろうな」


駐屯地に帰って来た6人の顔は暗かったがやれることをやるしかない!

今できる事は少しでも異世界の事を知り情報を得て皆に共有する事だ。

結界に入れなかった隊員は順次増援で到着した隊員と入れ替えて、新しく来た隊員に結界に入れるか順次試させて行く、この駐屯地には結界内に入れるものを中心に残すつもりだった、佐々木が自由に動かせる隊員は約1000確率で言えば30人ほどが中に入れれば良いだろう、一週間ほどでその作業は終わり駐屯地には中に入れるもの35名とその他の作業をさせる者だけを残した駐屯地には現在80名ほどが残って要る、森の中に有る為近くの街道と繋げる作業も終わり移動も補給も簡単に出来る様にし道には検問を作り関係者以外は入れない様にしている。


上に報告を入れて自衛隊員で結界に入れるものを少しでも増やせるように移動させる様に要請を入れて毎日100ほどが送られてくるようになり少しずつ増やして行く事にする佐々木だった。


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