第91話 豪快な子供達

街並みを楽しんでいると冒険者ギルドがふと目に留まった。


パパ 「ちょっと冒険者ギルドに寄って行って良いか?」

おと 「私達はどうすれば良い?」

パパ 「宿に戻っても良いし町を楽しんで居ても良いぞ?」

おと 「え!良いの?町で遊んでいても?」

パパ 「何かあればあんこをこっちに知らせによこしてくれれば良いぞ、お前たちをどうこう出来るやつはいないだろうからな」


パパはおとに金貨を纏めて30枚ほど袋に入れて渡す


パパ 「好きに使って良いからな!飽きたら宿に戻るんだぞ」

「「「はーい!」」」

子供達は嬉しそうに駆けて行った、何か欲しい物でもあったのかな?言えば買ってやったのにな?と思いながらパパはギルドに入って行った。


ギルドに入ると受付に向かうと受付嬢が話しかけて来た。

受付嬢 「何か御用でしょうか?」

パパ  「ここのギルド長のマイクだっけ?に少し話を聞きたいんだが可能か?」

受付嬢 「ギルド長にですか?約束はしていらっしゃりますか?」

パパ  「いや約束はして居ないな、先日話の途中で帰ってしまったのでな山内家のリーダーが来たと言ってみてくれないかな?」


パパはそう言ってギルドのタグを受付嬢に見せる、タグを見た受付嬢は「ああ!!」と驚きの声を上げて中に慌てて引っ込んでしまった。

受付嬢が中に入って行ったら直ぐにマイクが此方に慌てて走り寄って来た。

マイク 「突然いなく成られてしまったんで探していたんですよ!」

パパ  「面倒ごとは誰だっていやだろう?」

マイク 「とにかくここでは何です奥にどうぞ」


ギルド長のマイクに言われて部屋の中に通されついて行く。


マイク 「そちらにおかけください!」


マイクに言われて向かい合って腰を下ろすとお茶を職員が持って来てくれた。


マイク 「あれから大変だったんですよ?突然いなくなってしまうので…それで今日はどう言ったお話ですか?」

パパ  「うちの家内がこのがギルドに辺境の村で助けた女の子を預けたんだが知って居るかな?」

マイク 「ええ知っておりますよ、村唯一の生き残りの女の子ですよね?身寄りが無かったのでこの町の孤児院に引き取られたはずですが、その子が何か?」


パパはこのギルド長は子供達が奴隷に成って売り払われた事は知らない様だなと思い少しホッとするのだった。


パパ  「うちの家内がな気にして居てな引き取ろうと言う話に成ったんだよ、忙しい所悪いのだがその子の所まで案内してくれないかな?」

マイク 「この時間は暇なので孤児院までなら案内出来ますが行きましょうか?」


マイクは不思議そうにしているがパパは冒険者ギルドに子供達を奴隷にして居る事を知って貰いたかった、もしかしたらそれが普通の事でマイクも知っているかもしれないがそれが普通ならこの国に今後一切協力する事は無く成るだろう。


パパ  「それはありがたいさっそく今から向かいたいが良いかな?」

マイク 「まあ此処から近いのでギルドの入り口で待っていてください職員に出かける事を伝えてから向かいますので」


マイクとギルドの入り口で待ち合わせマイクに連れられて孤児院まで移動する。


ギルド長が孤児院を訪れて院長に話しかけていると申し訳なさそうに「その子は先日引き取り先が決まり引き取られて行きました」とパパに向かって謝って来た。


パパ 「奴隷商に子供を売って引き取らせたのか?」


パパが唐突に院長にそう言うと面白い位に顔を引きつらせて真っ青になっている。


院長  「何をおっしゃっているのかわかりませんがその子はもう此処にはおりませんので」


逃げるように中に行こうとする院長を冒険者ギルドのマイクが腕を掴み引き止めた。


マイク 「何か聞き捨て成らない事が耳に入ってきましたがどういう事でしょうか?」

パパ  「マイクは知らないみたいで安心したよ、此処に戻る前にマウナで護送用の馬車で早朝に町に来る馬車を見かけてな、気に成って見て居たら見た事がある女の子が居たんで追いかけたら奴隷商に入って行ったんだ、中で事情を聞いたら税金が払え無いから奴隷落ちした者達だと10歳ほどの子供達が10人馬車の中に居たんだ」


マイク 「それは今回の氾濫で町を守る為に戦って亡くなった冒険者の子供達では?預けたのが丁度10人でしたよね⁉」


院長は黙り込んだままマイクの腕を振り払い建物の中と逃げ込んでしまった。


マイク 「子供を預けて冒険者ギルドからは子供達がひもじい思いをしない様に多額の寄付をしているんです、今回此処に預けた子供達は町を守るために戦った者や不幸にも移動中に氾濫に合って親を殺された子供たちなのです」


パパ 「その子供達は皆私たちが保護をしているから安心してくれ、今回のこの事はしっかり調査してくれよ?町を守って死んだ親の子供が奴隷落ちなどしたら誰も戦わなくなるぞ!」


マイク 「ええ勿論です!これは教会と冒険者ギルドの問題えと発展するでしょう、領主も怪しいかもしれません!本部から国にも報告を上げさせてもらい抗議しなければなりません!そうしなければ命を懸けて町を守った者達が浮かばれません!」


マイクは怒りをあらわにして急いでギルドに戻って行った、あの怒り方なら任せても良いだろう、パパは一つ肩の荷が下りて少し足取りが軽くなり宿の方に戻って行くのだった。


その頃子供達はと言うと町の屋台を手当たり次第に見て回り買い食いをして居た、物欲しそうに見てくる子供達にも大盤振る舞いで買い与えて盛大に浪費をして居るのだった、この場で物欲しそうにしている子供達も孤児院の子供達で売られる順番を待つばかりの子供達だった。


冒険者ギルドは冒険者の親が依頼などで亡くなってしまい身寄りが無くなった子供を孤児院に預ける為に孤児院に多額の寄付を毎年行っている、寄付を行って居るにも拘らずその預けた子供達が奴隷商に売られてしまって居る、何も罪を犯していないにもかかわらずだ!今回は税金を払え無いと言う罪を付けられてし待っていたがこの国の成人年齢は15歳だそれまでは税金を払う必要が無い、例外は親が税金を払えずに一家諸共奴隷落ちする事は有るのだが、孤児に税金を払う義務はないのだ。


マイクの怒りはかなりの物で、翌日には事情を調べ上げてギルド本部にこの事を報告して居る、冒険者ギルド全体で教会への寄付金は年間で膨大な額に成る、安心してギルドの組合員が依頼をこなせる様にするための仕組みだったのだが教会が裏では領主と結託して不正奴隷を売買して居る事を知りギルド本部もこの事を重く受け止めて国に厳重な抗議を入れた、氾濫から町を守って死んで行った者達の子供が奴隷にされている、言わば英雄の子を奴隷にしてしまって居たのだ。

その事が国民に知れ渡ると国民の怒りは相当で各地で教会への暴動が起こってしまったのだ、一部の悪人の為に真面目な教会も破壊されてしまって居た。


その状態になってやっと重い腰を上げた国が調査を開始し関わって居た領主や教会職員の粛清に入ったのだったが動くのが遅すぎたのか暴動は治まらず国全体に広がって行くのだった。


そんな大事に成る事も知らずにパパはスッキリした気分で宿に向かうのだが途中で人だかりが有るのに気が付き不安に成って様子を見に行く、不安は的中し中心に見覚えが在りまくる子供達が笑って居るのが見えた。


パパは絡まれている様では無いか?と不審に思いながら子供達の元に行く、屋台の食事処の店が軒並み店じまいをし子供達の元に食事を運んでいるがそれを見知らぬ子供達に配って居る様子だ。


家の子供達は屋台の主人達に笑顔で話しかけられながらに守られている様子でお金を持って居ると絡もうと近寄ろうとする者達は排除されている様子だった。


店の店主達も腹を空かせた子供達を見ていて心を痛めていたが自分も生活が懸かって居ていつもいつも施しは出来ず、たまに売れ残って捨てるしか無い様な物しか上げられなかったのだ。


家の子供達も初めは自分達の食べる分だけ少しずつ買って食べていた様だが周りで物欲しそうに痩せた子供に見つめられて上げてしまったのが始まりの様だ、集まってくる子供が思ったより多く初めは戸惑って居た様だが、音が「有るの全部頂戴!」胸がスカッとするような買い物の仕方で他の子供達に分け与えてしまった、それを他の屋台でもやり広場にある食べ物の屋台全部でやって全部与えてしまったのだ。

店主達はそんな豪快なうちの子供を守りながら嬉しそうに食べている町の子供達見て晴れやかな気分に成って居るのだった。


おと 「食べきれないのは持って帰れば良いからね~」

店主 「嬢ちゃん達は別嬪さんだ!今度家に来たらおまけしてやるからいつでも来てくれ!」

さき 「やったー!儲けちゃったね!」

おと 「パパに見つかったら怒られるかな?」

さき 「前にギルドでパパも同じことしてたから大丈夫でしょ?」

ほし 「あ!パパだーここだよ~」


ほしが手を振ってパパを呼んでいる、音と咲は少しびくついてこっちを覗き見ている、店主達が少し慌てているがパパは全く怒って居なかった、子供達が少し派手にやり過ぎだが心優しい気持ちを持って居てくれる事が嬉しかったのだ。

子供達の頭を順番に撫ぜて行くパパ、その様子を見て屋台の店主達も安心した様で「また来てくれよな~」と笑顔で手を振って去って行った。


パパ 「じゃあ宿に戻ろうか!食い過ぎて夜食を食べれないとか言うなよ?」

おと 「少ししか食べて無いから大丈夫だよ?」

さき 「ほとんど渡しちゃったからね」

ほし 「みんなお腹いっぱいだって喜んでたね」


ほのぼのとした会話をしながら宿に戻って行く家族だった。


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