第35話 エンデミック・オブ・ジ・エンド



「ハレル!わかったのよさ!奇病は人にかかった魔法じゃないのよさ!この町にかかった魔法!いや、この町を支配している魔法なのよさ!!」


「町に・・・町を支配する魔法!?」


「場にかけるエンチャント魔法!それがこの奇病の正体なのよさ!」


「えっと、何を言っているかわからないよ~」


「場を支配する魔法、とても強力だけど、ある程度魔力を持っているか、魔力に抵抗力がある人間にはかかりにくいのよ!だから司祭や、魔力を微量ながら秘めた宝石を身に着けた貴族のおっさんは奇病に感染していないのよさ!」


「それって、ボクの攻撃が当たらなかった事も関係しているのかな?!」


「関係しているはずなのさ!相手は複数のエンチャント魔法を展開していて、術者の身を守る為のものも含まれているはずだわさ!だから、あいつは詠唱無しで魔法を使える状態にあったのよ!」


「厄介だね・・・でも、解除する方法もあるって事だよね!?」


「あるね!さっき、ダウジングで行った町の隅っこの雑木林の所、あそこにエンチャント魔法の発生源があるはずなのさ!それを破壊すれば!」


「破壊すれば、なぁ~にぃ~?」


回り込まれたのか、あたし達の目の前に悪しき魔女が立ちふさがったのよさ!


「どこに誰がいるか、わかっちゃうんだからぁ~」


「っへ、ありがたい情報だわさ!」


あたしは魔力をため、詠唱する!


「ブレンネンシュトゥルム!」


炎の嵐を巻き起こしたのよさ!

でも、あいてはその嵐を割って出てくるのよさ!


「強い魔法ね!普通に直撃していたらひとたまりもないよぉ~!」


悪しき魔女がかまえた・・・

邪気が集まっているのよ・・・

これは、やばい魔法が放たれる!


「じゃあこっちからもとっておきの魔法を披露してあげちゃうんだから~!」


やばいって思ったその時、


「天におられる我らが父よ。御名(ぎょめい)があがめられますように。御国が来たりますように」


悪しき魔女が集めた邪気が消し飛んだのよさ!


「な、なんだよぉ!誰!イッヒの邪魔をしないで!」


「邪魔?そもそもあなたが他人の人生の邪魔していらっしゃるのですよ?」


メメシアが援護に来てくれたのだわさ!


「悪しき魔法を使う醜き者よ。跪き、懺悔せよ」


「悪しき魔法?っへ!ズィーも魔法を使うんじゃなくてぇ~?」


「わたくしのは魔法にありません。奇跡術です」


「っへ!イッヒの魔法の前にひれ伏すといいさ!」


再び悪しき魔女が邪気をため込む!

すると、メメシアは悪しき魔女に接近し、


パァァァン!!


メメシアは悪しき魔女に強烈なビンタを食らわせたのよさ!


「痛っ!!何するのよぉー!ゆるさないっ!!」


「右のほほをビンタされたら、左のほほを差し出すのですよ!!」


バッチィィィィン!


メメシアは再び悪しき魔女に強烈なビンタを食らわせた!

絶対、何か違う!


「う、うがああああ!離れろー!!」


悪しき魔女は宙に浮かび上がるのよ。


「いいわよぉ・・・イッヒを怒らせたんだもん・・・たっぷり痛みを味わってもらうわぁ~」


そうだ、あいつは術を無効にする事が出来る!

それをメメシアに警告しなくては!


「マジョリン、大丈夫です。わたくしの術は無効にできません。それがこの世の理であるからです」


え?あたしまだ、何も言っていない・・・

心を読んでいるのかねぇ?


「マジョリンとハレルは、解決策を実行してください!この醜き者はわたくしが引き止めています」


「メメシア、でも、そいつとの戦いは気を付けなくちゃだめなのよさ!」


「戦い?マジョリン、違います。これは異端尋問です!」


メメシアの頭の後ろに光の環が出現するのよさ。

これは、メメシアの戦闘モードだわさ!


そして、メメシアは聖なる言葉を述べ始める。


「クルクス サクラ シト ミヒ ルクス」


すると、宙に浮いた悪しき魔女は地上に落下したのよさ。

メメシアの奇跡術は相手の魔法をかき消しているのよ。

その後もメメシアは祈りの言葉を続けるのよさ。


「ノン ドラコ シト ミヒ ドゥクス」


「あがっ!あがぁぁあああっ!!」


悪しき魔女が苦しみ、のたうち回っているのよ。


「ヴァーデ レトロー サタナー」


やはり相手は悪しき魔女だけあって、メメシアの祈祷が効いているのよさ。

っと、見とれている場合でなく、町にかけられたエンチャント魔法を解除するのは今しかないのよさ!

あたしとハレルは先程のダウジングがしめした場所へ向かって走ったのよさ!


先程の場所に到着するも、やはり発生源がどこか特定できないのよさ・・・

そこで、あたしはハレルに提案したのよさ。

ハレルはあたしの言う通りに、剣を地面に突き立て、その剣に神の雷を叩きこんだのよさ!

地面を伝わって広範囲に雷が広がったのよ!

すると、雑木林の中で激しくバチバチっと何かが雷に反応した音がしたのよさ!

あたし達がそれに向かうと、1本の木に血のような液体で書かれた魔法陣を見つけたのよさ!


「これは・・・初めて見る魔法陣だけど、邪悪なものを強く強く感じるのよさ・・・下手すれば、生贄に人間を使っている・・・そうでなければ広範囲に長く効果が続く魔法の説明がつかないのよさ・・・」


「マジョリン・・・どうすれば解除できるかな?」


「ハレルの力、神の雷でこの魔法陣を消し飛ばして!」


「わかった!」


ハレルは力いっぱいに神の雷をぶっ放して、魔法陣を吹き飛ばしたのよさ!


「これで町の人達は解放されたはずだわさ!」


あたし達はまた走って、町の中心へと向かったのよ!

すると、町の人達はみんな倒れていたのよさ・・・


「マジョリン!ハレル!今、踊りが止まったんだ!そしたらオレ以外はみんな、踊りつかれてそのまま倒れちまったんだぜ・・・」


プロテイウスも開放されていたのよ。


「プロテイウス!まだ終わりじゃないよ!今、メメシアが悪しき魔女と」


「彼女は逃げてしまいました」


振り向けば、そこにメメシア。


「あなた達が呪縛を解き放った事がわかったのか、走って逃げて行ってしまいました。深追いはしませんでした」


「そうだったのねぇ・・・でも、メメシアが無事でよかったのよさ」


「本当だよ・・・みんな無事で・・・よかった~・・・」


っと、ハレルは仰向けに倒れてしまったのよ。


「ハレル!大丈夫!?」


「ごめん、ちょっと力を使い過ぎて、疲れちゃった・・・」


走り回って、強力な技を連発したんだから、疲れちゃうよねぇ・・・


「ハレル、おつかれさん」


こうして、謎の奇病に襲われた町は救われたのよさ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る