#1
気が付くと、俺は森の中にある街道に立っていた。
街道と言ってもアスファルトやセメントで出来た道ではなく、踏み固められた土なのだが。
服装もちゃんと変わっていた。
麻で出来ているっぽい上下の服に、皮の胸当てや皮の靴。これがスフィアでの標準的な服装と装備なのだろう。
1時間も歩けば町に着くと言っていたが、問題が一つ。
行き止まりの道ならともかく、一本道の前後どちらに行けば良い?
案内板のような物も無いし、地図も持ってない!
「まぁ、しばらくココに居れば誰か通るだろ」
気持ちを切り替え、街道の横にあった切り株に座る。
今の内に自分の状態や持ち物を調べておこう。
調べる方法は何故か知っている。多分これが『スフィアの常識』なのだろう。
「ステータス、オープン」
~~ステータス~~
名前:福田哲司
年齢:23
LEVEL:1
HP:25/25(+10)
MP:250/250(+100)
体力:215(+200)
速さ:16(+1)
運:120/120
-属性-
・力系
攻撃力(B)↑・防御力(B)↑・精神力(A)↑・筋力(E)・忍耐力(D)
記憶力(D)・治癒力(A)↑・生命力(D)・視力(E)・知力(D)・集中力(D)・魅力(E)・魔力(B)
・耐性系
ダメージ耐性(D)・ストレス耐性(A)↑・毒耐性(A)↑
麻痺耐性(E)・疲労耐性(E)・恐怖耐性(D)・阻害耐性(F)
・欲求系
食欲(E)・睡眠欲(D)・性欲(E)・物欲(D)・知識欲(C)・生存欲(A)・死亡欲(E)・自己顕示欲(F)
-技術-
剣技(C)・盾技(C)足捌き(あしさばき)(C)
-付属-
スフィアの常識
マジックボックス
アサイさんの加護
イイクラさんの加護
属性とかはA~Fで表示されるんだな。
↑が付いてるのは伸ばした属性か? 攻撃力と防御力にも付いてるけど、これは多分『攻防の方法』のせいかな?
HPとかには()で補正が入ってる。コレは属性の影響らしい。
A:+200
B:+100
C:+50
D:+10
E:+1
F:補正無し
という事なので、HPには生命力、MPには魔力、体力には攻撃力+防御力、速さには筋力の補正が付いている。
体力は215もあるのにHPが25って……。どうにかしてHPを上げよう。
レベルもあるのでレベルが上がればゲームのように増えるんじゃないだろうか?
ところで、23歳がレベル1っておかしくない?
この世界の成人男性ってレベル10くらいなんだけど……。
詰めが甘いぞ、イイクラさん!!
技術ってのは『攻防の方法』のせいだろう。剣や盾なんか前世で使った事もないからね。
それよりも「付属」の下2つ!! 本当に加護か?! 覗き見する為のマーキングじゃないの?!
しかも何気にイイクラさんまで付いてるし!!
加護付きで何か良い事とかあるのかね? これは『スフィアの常識』にも無い事だから判らないぞ!
マジックボックスの中は、お金・ナイフ・片手剣・小さい盾、が入っていた。
一応、剣だけは出して持っておく事にした。
1時間も経っただろうか、やっと遠くから馬車が来るのが見えた。
これで町に行けるよ~。
通り過ぎられては困る! 道の真ん中で手を振ってアピールだ!
「お~い! お~い!」
「うぉ! 危ねぇな!! 馬車の前に出るなんて死ぬ気か?!」
「すいません! 町はどっちですか?!」
「おい、聞いてんのかよ? ……ここから後1時間くらいでカジノの町だよ。
俺も今そこに向かってるんだ。昨日は稼いだからな! ツイてる内にもうひと稼ぎだ!」
「へ~そうなんですか」
「そうだ、兄ちゃん、俺と賭けをしないか? 俺に勝てたら乗せてってやるよ。どうだ?」
「いいですねぇ。やりましょうか!!」
「よし! 勝負の方法は……単純なコイントスでいいか」
そう言いながらピンとコインを指で弾いて手の甲で受ける。
「俺のコインで俺が弾いたからな。兄ちゃんに決めさせてやるよ。
表か? 裏か? どっちだ?」
「表で!」
「じゃあ俺は裏だな。……あ~表か~。俺のツキも終わりか?
今日は大きく賭けねぇ方がいいのかもな~。
おっとすまねぇ! お前の勝ちだ。乗りな!」
こうして俺は町まで乗せてもらえる事になった。
ちなみにステータスを確認したら、運が1だけ減っていた。
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