第16話 アプデ後の初戦闘

「フロンタル基地は初めてだろ?」



「はい」



俺とファナリスは会話しながら通路を歩いていた。



「そうだ、会ってほしい人がいるんだ。時間いいかな?」



ファナリスが隣の扉を指差す。



俺とファナリスが扉を開けた途端、、、、



「そいつが新しいパイロットか!」



大きな声が聞こえる。



「リク!そうだよ」



筋肉質で大柄な男がこちらに歩いてくる。



「紹介する。リク・オベール。俺の兄貴みたいなもんだ」



ファナリスがリクの横に並ぶ。



「こいつの言う通り、俺はリク・オベール。地球防衛機構第六アーマードスーツ部隊所属、階級は、、、、いいや、気を使わせるだろうし」



リクが俺の肩を抱き寄せる。



「お前、いい目してるな。名前は?」



「ハナサギです」



え、BL?いやこんな雑な展開ではやらんか。



「俺の背中を預けられるぐらいには成長してくれよ」



リクはそう言って俺から離れた。



「じゃあ総裁に会いに行こうか」



ファナリスと俺はリクに別れを告げて部屋を後にした。



「気のいい人でしたね」



「だろ?困ったことがあったら大体リクに相談すれば解決する」



ファナリスが自慢げに話す。



「次はフレイ総裁だ。司令室にいると思うけど、、、、」



突如ファナリスを呼ぶ声が響いた。



「ファナリス!」



前から黒髪の美女が歩いてきた。



「フレイ!ちょうどよかった。紹介したい人がいたんだ」



ファナリスが嬉しそうに話しかける。



「あなたの隣にいる?」



「そう。彼は新入りのハナサギ。紹介するよ、フレイ・アンダーソン。地球防衛機構の設立者だ」



フレイが軽くお辞儀する。



「地球防衛機構総裁のフレイです。あなたの活躍を期待しております。では」



「あ、はい。どうも、、、、」



なんか、冷たいやつだな。ファナリスを見つけた時の声は明るかったのに。



「ごめんね、フレイは人見知りなんだ」



あ、そういうこと。そんなことより、ミネー達びっくりするだろうな、ワクワクが止まらんぞこのゲーム!



「じゃあ次は、、、、」



ファナリスが何か言おうとした時、耳障りなサイレンが鳴り響いた。



《敵襲!敵襲!エステア軍が当基地に接近中!パイロットは速やかに自機に搭乗、発進せよ!》



アナウンスが鳴り響く。



「格納庫へ!ついてくるんだ!」



ファナリスが走り出す。



「わ、分かった!」



俺も置いていかれないように全力でファナリスを追いかける。



外から爆発音が聞こえてくる。



うはー、派手にやってんな。



俺達は格納庫に駆け込んだ。



味方のアーマードスーツが次々と発進していく。



「自分の機体のところへ行くんだ!」



そう言ってファナリスは赤色のアーマードスーツのところへ行ってしまった。



「俺のエリアルヘロンは、、、、あった!」



奥の方のデッキにエリアルヘロンは格納されていた。



俺は急いでエリアルヘロンの下に走った。



瞬時にコックピットにテレポートする。



ヘルメットから仲間の声が聞こえる。



《ファナリス、エリアルバーニング、出る!》



《トルート、フルファイトマルクス、行きます!》



「俺も早く行かないとな」



俺は操縦桿を動かしてエリアルヘロンを発着口に移動させる。



「ハナサギ、エリアルヘロン、発進!」



エリアルヘロンが青空へ飛び上がる。



「ハナサギ、聞こえるか?」



ファナリスの機体が横に並ぶ。



「敵の数が多い。気合入れろよ!」



レーダーに敵機が表示される。



確かにとんでもない数だ。



「うわー、イベント並みにいるな」



とりあえずライフルを構えて照準を合わせる。



「ロックオン完了!」



放たれたレーザー光線が幾らかのエステア軍機を撃墜した。



「やるじゃないか、負けてられないな!」



ファナリスがエステア軍機に肉薄する。



エナジーソードが唸りを上げる。



エステア軍機が真っ二つになって爆発した。



もう片手にはライフルを装備している。



そのライフルを撃ちまくる。



「エナジーソード振り回しながらライフル撃ってる、、、、あれがエース?」



ドン引きしている俺にリクが通信を繋いだ。



「ボサっとするな、敵を堕とせ!」



そうだ、見惚れてる場合じゃない。



俺はレーダーを確認して敵が多くいるところへ向かうことにした。



とりあえず視認できた敵にライフルを撃ち込み撃墜、撃ち漏らしは接近して近接格闘で撃墜。



《助かった、新入り!》



《やるじゃないか!》



敵機を撃墜するたびに仲間が褒めてくれる。実にいい気分である。ただ一つ気がかりなことがある。



「あの時みたいなスピードが出ないな」



第十回イベントの時のような機動が出来なくなっていたのだ。



無論クロス型のウィングも赫く輝いていない。



「敵が撤退していく。ハナサギ、俺たちはフロンタル基地を守り切ったぞ」



ファナリスが嬉しそうな声で言う。



「新入りにしては中々良い動きだったぞ」



リクも褒めてくれた。



あぁ、なんていい気分なんだ。



俺は思わずニヤける。



「いや、そんなこと、、、、ふへっ」



「ふっ、全機無事だな?帰還するぞ」



リクが指示を出す。



「一回の出撃で五機以上の撃墜、まさにエースだな」



ファナリスが自分のことのように言う。



ま、NPCなんだけどね。



俺は心の中で呟いた。



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