第22話 遠い約束

「音楽と人生の祭典」から数週間が経ち、勇人はカラオケ御殿での日々を新たな視点で見つめ直していた。彼は、この場所が人々に与えた影響と、自身が受け取った無数のインスピレーションを思い返しながら、未来に向けての一歩を踏み出す準備をしていた。


そんなある日、勇人は過去にカラオケ御殿で出会った一人の若い音楽家から手紙を受け取った。その音楽家は、勇人が始めた未来の音楽家育成プログラムの初期の参加者の一人で、今では世界を舞台に活躍していた。手紙の中で彼は、カラオケ御殿での経験が自分の音楽人生に与えた影響と、勇人への深い感謝の気持ちを綴っていた。


この手紙を読んだ勇人は、自分の活動が実際に若い世代の夢を支え、彼らの人生に深い影響を与えていることを実感した。そして、彼はこの手紙をきっかけに、自分の使命がまだ完結していないことを感じ取った。勇人は、カラオケ御殿がこれからも音楽と夢を追い求める人々の支えとなり、彼らの可能性を広げる場所であり続けるよう、さらなる行動を起こすことを決心する。


勇人は、カラオケ御殿を訪れるすべての人々と「遠い約束」を交わすことを思いつく。それは、彼らが音楽を通じて学び、成長した経験を、未来の誰かのために生かし、音楽のチェーンを次世代につなげていくという約束だった。勇人は、この約束を具体化するために、カラオケ御殿に訪れる人々が自分の経験やメッセージを記録し、未来の訪問者へのメッセージとして残せる「未来へのメッセージボード」を設置した。


数ヶ月後、このボードは多くの人々の手紙でいっぱいになり、彼らの希望、夢、そして音楽への愛が次世代へと伝えられる架け橋となった。勇人は、これらのメッセージが未来の音楽家たちにとって、彼ら自身の道を進む上での大きな励みとなることを願っていた。

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