第9話 光を見つける場所

復旧作業とプロジェクトの改善策が着実に進行する中、勇人はカラオケ御殿のビジョンをさらに具体化させるために、深い思索に耽る日々を過ごしていた。彼の心の中では、自然と技術、そして音楽が調和する場所のイメージがより鮮明になりつつあった。


一方で、勇人はプロジェクトの本質的な目的についても再考するようになる。彼は、この場所を単なるカラオケを楽しむためだけの空間ではなく、訪れる人々が自分自身と向き合い、新たな発見をすることができる場所にしたいと思うようになった。


ある夕暮れ、勇人は洞窟の入り口に立ち、沈む太陽の光が海面に映る美しい景色を眺めていた。その時、彼はふとした閃きを得る。この美しい自然の光を、カラオケ御殿の設計に取り入れれば、訪れる人々にとって忘れられない体験を提供できるかもしれない。


勇人はこのアイデアをすぐにキャンちゃんと音響技師に共有し、洞窟内で自然光を利用した照明計画の可能性について話し合った。彼らは特殊なガラスや反射材を用いて、洞窟内に柔らかい自然光を導くことで、昼間でも星のように輝く空間を創り出すことができると考えた。


この新たなアプローチは、プロジェクトに対する地元コミュニティや支援者からの興味を一層高めることとなった。多くの人々が、このユニークな試みに魅力を感じ、さらなる支援を申し出てくれた。


作業が進むにつれて、カラオケ御殿は徐々にその形を現し始め、自然光が内部を照らすテストが成功した日、勇人と彼のチームは大きな達成感を味わった。洞窟内は、幻想的な光に満ち、まるで別世界にいるかのような感覚を提供した。


その夜、勇人はひとり洞窟に立ち、完成に近づいたカラオケ御殿を見回しながら、この場所が人々にとって、自分自身と、そして音楽と深く繋がることができる特別な空間になることを願った。

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