第四十七話昔話その三

第四十七話昔話その三


「それじゃあネヴィラとの戦いの時の話をするね」

 回想

 私たちがネヴィラと戦うための準備を済ませ、国の調査隊が命懸けで発見したネヴィラの棲家に向かうことに。

 ネヴィラが住んでいたのは軍艦島(ぐんかんじま)だった。

 調査の結果軍艦島は魔物の巣窟と化しており、一番外側かは強力な魔物がおり内側にはネヴィラの部下中央部にはネヴィラがいることが判明した

 作戦は国に新たに作られた"魔物対策省"略して魔対省が考えたものだった。

 ヒューゴは自分が考えた作戦もあるから聞いてくれないかとお偉いさんに直談判したがヒューゴの作戦は「私たちの方が経験的に正しい」と却下された

 ヒューゴは「所詮は部隊を作ったことだけを民衆に演出したいだけなのか……あの人たちは。

 戦うのは前線の俺たちなのに」と愚痴っていた。

 魔対省が考えた作戦は外側の魔物から殲滅し、その後ネヴィラの部下最後にネヴィラを狙えというものだった。

 私たち祭壇の太陽(アルターソラリス)は軍艦島に船で向かっている

 四十分後

 上陸することになったのだが、調査隊から聞いた話より魔物が多く目視で確認できるだけでも三十九はいる。

 するとアレンが

「入口でこれなら奥にはさらにいると考えていいだろうな……いや奥にはネヴィラの部下がいるらしいし魔物は少ないのかもしれないがネヴィラの部下の魔人だ、少数だったとしても強力と考えるのが妥当だ。みんなさらに気を引き締めてくれ……考えたくはないが、この戦いで俺たちの誰か……もしくは全員が死ぬことがあるということを頭に入れといてくれ。気づかれないように静かに上陸するぞ」

 そうして上陸しようとした時、空からネヴィラの声が聞こえてきた

「おっ〜やっとお前たち来たのか!! 待ちくたびれたぞ!! ほら待ってる間にこの各国のお偉いさん方の首が獲れたぞ。まっ俺を邪魔したから仕方ねえよな……しっかしよぉぉこのあたりからクッセェ龍の匂いがするんだがよぉぉ気のせいか? いいや気のせいじゃねえよなぁ……そこの他人のことならなんでも知ってます感を出してる男と女、特にお前たちから匂うんだよ!! 龍ってだけで腹が立つんだよ、俺たちの星をメチャクチャにしやがった雷電龍(らいでんりゅう)を思い出して腹立つんだよクソがっ!! 八つ当たりになるだろうが知ったことかよテメェらの首持って帰って殺されたあいつらの手向けにしてやるよ!!」

 ネヴィラはそう叫びながら持っていた鎌で私たちに切り掛かってきた

 ミドラが咄嗟にヨルグを庇った

「大丈夫かヨルグ?」

「うんミドラのおかげでね」

 するとネヴィラが叫び始めた

「オメェらとっとと集まれ!!! 獲物(メシ)が来たぞ!!!」と。

 その後その呼び声に応えるように周りに魔物たちが集まった。

 当然だが魔物だけじゃなく部下の魔人が二人集まった。

「ネヴィラ様が私たちを叫んで呼ぶなんて珍しいですね。前に呼ばれた時は驚きましたよ、『この星の食べ物が美味しいからオメェらも食べてみろよ』って…………しかし今回は違うみたいですね。このラス、ネヴィラ様に害する者を排除します!!」

 ミドラが「こいつ(ネヴィラ)の相手は俺がするお前たちは他の魔物たちの相手を頼む!!」

 と言ったがヨルグが「ミドラだけには任せるわけには行かない私も」といい二人でネヴィラの相手をすることに。

 三十一分後

 魔物のほとんどを倒したことを確認したアレンがすぐさま

「俺たちもミドラとヨルグに加勢するぞ!!」

 と言ったのだが魔人が残っていること、そしてその魔人が不審な動きをしていることに気づいたルイが「……ねえアレン僕とグレイとアリスで怪しい動きのあいつの相手するから加勢はアレンとヒューゴで行ってくれないか?」と

 ヒューゴは反対していたがその不審な動きのやつのせいで状況が悪くなってもいけないからと私とグレイとルイでその相手をすることになった。

 私たち三人なら種族的にも初見殺しの技でも生き残れる

 そして私たち三人は魔人の元へ、アレンとヒューゴはミドラとヨルグに加勢するためネヴィラの元へ

「おいルイ、アリスもっとスピード上げろ!!」

「「分かってるよ」」

 そして魔人の元へ辿り着いた

 すると魔人が

「君たち今回ばかりは邪魔をしないでください。邪魔をするというのなら…………あの世に逝かせてやるよ!!」

 邪魔するなと言われても私たち何のことか知らないしと私が言おうとした時ルイが

「……俺たちはあんたが何をしようとしてるのか知らない」と私が言いたいことを先に言ってくれた。

 すると魔人から帰ってきた答えは

「私がしたいこと、それはあの生意気な王子を我が身に取り込み私こそが最強であることを証明すること!! ラスのやつは気づいてないみたいですが王子の部下はラス以外全員もう取り込んでいるのですよ」

 グレイが「王子って誰だよ!!」と

 魔人は王子とはネヴィラのことだと答えた。

 私は聞いた

「取り込んだあとはどうするの?」と

 魔人が答えたのは「取り込んだあとですか? それは当然人助けですよ」と意外なものだった。

 あれ? ってことは私たちと魔人の目的って大体一緒なのでは?

 するとグレイが

「ならさ俺たちネヴィラ倒しにきたんだけど目的一緒なんじゃねぇか?……じゃあさっそくネヴィラのところに行こうぜ」

 魔人は「私はネラです。魔人はとか……魔人魔人言わないでください。しかし私は一人で行きます取り込むなら少し…………でも私が死んだと油断した時じゃねえとなぁネラのやつ人助けとか言いやがって、本当はいい気になってるやつを破滅させて楽しんでるおかしいやつだぞ!! まっこのネロ様はあんなおかしいやつとは違うからなぁ。テメェらの力なんざ借りずとも取り込めるんだぞ」

 そうして私たち三人は先にネヴィラの元に向かった。

 その頃ミドラたちはネヴィラに苦戦していた

「アレンは再び回復される前に先程奪った右側の視界からネヴィラの右側を狙ってくれミドラは左側から狙ってくれヨルグは背後から……(これならネヴィラに聞かれて防がれても何とかなる。ミドラ聞こえるか? さっき気づいたんだがネヴィラの鎌最初よりだいぶ擦り減っているネヴィラ自体の身体の治りも遅くなっている。このまま攻撃を続ければ封印魔法で封印出来る。封印魔法を使う時に合図を出すだからそこまで攻撃お願いします)」

「了解(ヨルグ、ヒューゴがネヴィラに封印魔法を使う。そこまで俺たちで攻撃を続けるぞ。ネヴィラの回復がさらに遅くなるまで俺は攻撃に集中しようと思う。だからヨルグはフォローを頼む。アレンについてはヒューゴが一番よく知ってくれるからそこはヒューゴに任せるとするよ)」

 そして五分後

 私たち三人が到着する頃にはネヴィラが力尽きる寸前ってくらい弱っていて……なんだか私たちが悪者みたいに感じてしまう一人相手に数人で戦うって、ネヴィラからしたら私たちが悪者に見えるのかも、でもここで生かすのは苦痛を感じる時間が延びるだけ、だからなるべく楽にするのが優しさだよね。

 そしてミドラから『ヒューゴがこれからネヴィラを封印魔法で封印する』という声が頭に響いた瞬間

「この時を待ってたぜ王子様よぉぉぉ!! 喰らって恨みを晴らす!! 復讐の捕食者(ヴァンジャンスイーター)」

 とネロの声が聞こえてきた。

 本当にネヴィラが弱った時に来たんだ。

 でも叫びながら攻撃するのは……気づかれるだけなんじゃないの? 黙って攻撃した方が当たりやすいと思うんだけど、そう思うのって私だけかな?

 するとネヴィラが

「待っていたのは俺の方だ。わざわざ俺の回復のためにご苦労さん」

 と言ったあとネラの両手両足を切断した。

 そして切断した両手両足を喰らった。

 ネラは怯えながら「何が起こったの?」と言いたそうな顔をしていた。

 ネヴィラは

「分かってないみたいだから教えてやるよ。そもそもお前が……いや"お前たち"が俺のことを恨み復讐したがっているのを知っていた。それにお前たちの能力は相手を取り込み自分の力とする。それに気づいた俺は『俺を殺したがっているあいつらなら俺の部下でも取り込み必ず勝てると思った時に仕掛けてくるはず、だったらそこを狙って俺が逆にあいつらを殺したあと喰らえばさらに強なれるんじゃねえか?』ってまあ安直かも知れねえけど思ったわけだよ。お前たちは俺の思った通りに動いてくれた……最初はすぐ殺そうかとも思ったが、泳がせといて正解だったな」

 するとアレンがネヴィラに

「どうして仲間を殺そうなんて思えるんだ!! 考えは人それぞれなのは認めるがあんたさっき雷電龍に仲間を殺されたから龍の匂いってやつに腹を立てたんじゃないのか!?」

 ネヴィラが答えたのは

「仲間とかお前何言ってんだ? そもそも誰が殺されようと俺は別に気にしねぇよそもそも知ったこっちゃねぇよ。怒ったのは仲間を殺された復讐ごっこをしてたからだよ。それに雷電龍は俺がもう殺してる。あの時せっかく面白いおもちゃが見つかったと思ったのになぁ、すぐ死んじまってつまんなかった……さてこれから二回戦と行こうぜ、じゃあなネラ俺に喰われることを光栄に思いながら死にな」

「嫌だ嫌だ嫌だ……まだ、まだ…………まだテメェを殺してねぇんだよそれまで死ねねぇんだよ!!」

「何を言おうがもう遅えよ」

 そういいネヴィラはネラを喰らった。

 するとネヴィラは全ての傷が治った。

「俺の目的は達成したし……戦った感じお前たちはもっと強くなる気がしてならねぇ……おもちゃとして可愛がってやってもいいが……どうする?」

 アレンは

「俺たちはおもちゃになる気はない!! あんたを倒さないと理由なき殺戮が増えるんだそれだけは許せない!!」

「理由なき殺戮ねぇ……楽しい遊びをしたいって理由があるだろうがよぉ!!」

 この戦いは三日三晩続いた

 後にこの戦いは"端島(はしま)の魔境戦"と呼ばれることになる

 回想終わり

「ごめんねアカネちゃん、ヨシカゲくん話が長くなっちゃってそれに分かりにくかったよね。それじゃあヒョウちゃんとした修行をつけるから始めようか」

 そして俺はアリスたちからの修行を再開した

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