第11話

 人間は、飽きが来ると思う。

 僕だって、そう思うこともある。

 …

 3月も半ばになっているが、まだまだ、寒いと思う。

 しかし、日々、何とか生きていると思う。

 …

 例えば、ある人が、仕事をやめて、違う場所へ行く。

 それは、それなりの理由があると、最近では、思っている。

 仲間は、みんな、悲しいが、だが、その人は、その人なりの理由があると思う。僕らは、その人にしか分からない理由があると、気が付くまで時間がかかると思う。僕らは、毎日、色んな思いをしながら、生きていると気が付く。

 …

 僕は、まだまだ、楽しんでいないと気が付く。

 恋愛に至ってもそうだと思う。

 だが、と思う。

 僕だって、彼女がいた時期もあるが、上手くいかないこともあった。

 いや、そんなことが、多かったように思う。

 本当は、僕は、自分の両親のせいにしたかった。

 だって、「祐介、何にもできない」みたいな言い方をされると、僕でも、悲しいし、寂しいと思っています。

 だが、50歳前後に思うこともあります。

 僕が、小説を書いて、作家の真似事をしたら、お母さんやお父さんは、僕を理解できない存在だと思います。

 僕なら、ドラマを観て「ああ、この作者は、こうやってドラマを書いた」と思いますが、僕の両親は、「このドラマは、面白いかどうか」になります。勿論、シナリオライターなどの気持ちを、例えば、視聴者は、理解ができないのですが、僕の両親も同じだと思います。

 …

 反対に、作家の立場になった僕が、両親を理解するしかないと思います。親は、頭が固いから仕方がないと思います。両親は、ドラマや小説なんて書くことはできないのですから。

 そして、僕は、たまにぼやいたら、「坂中さん、自信を持って」と言われました。それって、少し、年上の女の人にそう言われました。しかし、僕は、その言葉を聞いて、じんとしました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る