ゲーム実況者の操作キャラらしい
日傘
プロローグ
暗い洞窟の中、一人の男が目を覚ました。
男は何も覚えていなかった。
ここはどこか、何故ここにいるのか。自分は誰なのかさえも。ただ一つ、自身の名前だけはわかった。
ポタポタと岩から水滴が滴る音が洞窟の中で反響している。
なにもわからぬ男の頭にいきなり、澄んだ女の声が響いた。
『てことで今回からこの《ワールド・アルカディア》プレイしていきたいと思いまーす』
やけに陽気なトーン。ハキハキと聞き取りやすい発音。
ぼうっと浮かんでいた頭のモヤがさぁっと消えた。
脳が覚醒し、そして瞬時に男は悟った。
自分はゲーム実況者の操作キャラであると。
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