第5話 酔っ払いは無敵

 その後、酔っぱらうまで吉村さんとたくさん話をした。


「吉村さんはどんな仕事をしているの?」

「大学院生なんです、俺」

「そうなんだね! 大学院では何を学んでるの?」

「理工学研究科について学んでいます。職種で言うと、エンジニア系ですね」

「へえー、そうなんだ! 私は事務職についてるよ」

「ではOLさんなんですね。都築さんは、」

「もう。都築じゃなくて、佐久って呼んでいいよ」

「佐久さん。では、俺も隼人と呼んでください」

「隼人くんね。ふふふ、かっこいい名前ね」

「親がつけてくれた大切な名前なので、そう言ってくれてうれしいです」

「ふふふ」


 私は始終笑っていた。失恋のことを忘れられる、とても楽しい時間で、終わってしまうことを思うと悲しくて、寂しくて。

 ついつい、飲みすぎてしまったのだ。。


「佐久さん、佐久さん!」

「ぐう……」

「さっちゃん、飲みすぎだね。やれやれ。おや……もう閉店時間だね」


 バーのマスターはそういうと、二人分の会計を済ませた吉村隼人に、酔って眠り込んだ都築佐久を任せて、お店をさっさと閉めてしまった。


「まじか……もう電車も終電、終わってるよな」

「ぐう……」


 吉村隼人は、はあ、と息をつくと、タクシーを呼ぶためにスマホを出した。

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