水鳥公園

何年か振りに来た海辺の公園は、自分が高校生の時来た砂浜のある公園ではなくなっていて、みんなで足を浸した波打ち際は階段のあるコンクリートの護岸に変わっていた。


「随分と味気ないことしてくれたな」なんて苦笑いして、少しでも水辺に近づこうと階段を下りた。


淀んだ海の臭い。


5月の柔らかい曇り空から、ゆるやかに日差しが降りてきて、そよ風がそっと通り抜けていく。


さっきコンビニで買った缶コーヒーを上着のポケットから取りだして、味わうでもなく口をつけた。


目を閉じるとそれでもちゃぷちゃぷと水音が聞こえる。


どこからか歓声が聞こえた気がしてうっすらと目を開くと、少し遠くの方で制服を着た3人の女子高生が今や猫の額程になってしまった砂浜で笑いあっている。


平日の昼下がり


笑い合う彼女達をぼんやりと見ながら、「彼女達もまた何かになろうとしているのかもなぁ」なんて穿った考えが胸の中に浮かぶ。


「親友と笑い合う自分」


「今が楽しくって」


「私は幸せ」


そんな青春の群像。


今の自分はあの頃なろうとした「何か」になれたんだろうか?

この場所で友だちと笑いあった自分は


またいつか、気が向いたらここに来よう。


今日見た「いつか」の景色を観に。

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