今日俺は死ぬと分かっていて出社した

今日


俺は死ぬと分かっていて出社した


今日は人生最後の日


どこに行くでも


誰に会うでもなく


俺は死ぬと分かっていて出社した


上司の小言


サボるばかりの同僚


生意気な後輩


だらだらとした無駄な残業


くたびれ果てて立ち寄ったコンビニで

おでんと缶ビールを買って

独り暮らしのワンルームに辿り着くなり革靴を脱ぎ捨て、靴下を剥ぎ取り、スーツをくしゃくしゃにして床に放り投げた


少しぬるくなった缶ビールを一息に半分程飲み

冷めかけのおでんをぼそぼそと口に運ぶ


明日俺はこの世にはもういない


こんな何気ない日常も


もう来ない


泣くでもなく


虚しいでもなく


ただただ空っぽで


部屋に唯一のちっちゃな窓を開けると


それでもきれいに小さな月が冬の空に浮かんでた


バイバイ


この世界

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