窓の向こう


今日あなたの声を聞いた


いつも窓越しに見てたあなたの声を


いつもそばにいて


優しい言葉をかけてくれた


そんなあなたの声を


初めて聞いた


2人の間に透明なガラスがあって


ちゃんと見てたつもり


あなたの声も、知ってたつもりだったのに


不意に開いた窓の向こう


冷たい秋の、静かな風に乗って来たあなたの声は、


わたしを置き去りにするさよならだった


夕方の波打ち際で見た横顔も


2人で歩いた田舎道も


あなたのくれた手紙


見慣れた文字も


明日からあなたはわたしの知らない人


そっと窓を閉じて


肌寒くなった部屋


押し入れから引っ張り出した毛布に子どものように丸くなって


1つの季節の終わりを


わたしは壊れないように抱きしめた


そして


明日からわたしは


あなたの知らない人

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