もやしラーメン

第1話

こんにちは、双葉紫明です。

僕は自然食材を使ったちいさな飲食店を経営してるんですが、山で採ってくるきのこや山菜以外の、つまり仕入れる食材は必然どれも高級食材となってしまい、商才もない為全然儲かりません。

明日もシラカワ(シロアマダイ)という超高級魚が届くのですが、それをお世話になったお客様のお別れ会に無料提供しようという、アクロバティックな計画を立てています。

明日生きる金もないのにね。

産まれついての貧乏人なのでジャンクフードばかり食って来ました。

そのせいか、自身は辛けりゃなんでもうまいです。

だからこそ、この店は聖域にしたい。

調味料の原材料・製造方法から。

それでもこんな得体の知れない店に高い金を払わせたくない、っていうか世の中なんでも高いから安くしたい。

そしたら我が身を削るしかない。

家族は付き合い切れないと離れた。

独り。

思う存分身を削ろう。

そして、今日も金がない。

一円でも安く。

毒でも喰らおう。

それで、お客様に良いもん食わせられるんだから。