第24話

朝目を覚ますとアーダルベルトがいなかった。散歩にでも行ったのかと思い当たりを探していると人影が倒れているのを発見する。


「おい、アーダルベルト!どうした!」


アーダルベルトは腹部に深い傷があり重症だ。水魔法で応急処理を行いテントに戻りアーダルベルトを布団に寝かす。


「何があった!」

「バリスに会った」

「!!!」

「バリスはまだ実体化できていなかったからこの程度の怪我で済んだが実体化した時やつはまた私を襲うだろう。レオン様だけでもお逃げ下さい」

「お前を置いて逃げることは出来ない。とりあえずもう喋るな。今は治療に専念しろ」


思っていたよりも早かったな。バリスは神の中では1番弱いはずだ。

だが実体化してない状態でアーダルベルトを

あそこまで追いやったと考えると今の俺では太刀打ち出来ないな。

とりあえず今1番すぐに成長しそうなものに力を入れよう。

やはり、悪神流しかないよな。


目を閉じあの日のことを思い出す。俺の目の前からあいつらがいなくなった日を。


あの日は魔人からの侵略を防いで皆で宴を開いていた。陽気に踊るやつもいれば酒が回り熱く語っているやつもいた。

とにかく皆が皆浮かれていた。俺たちは魔人に勝つことが出来た。レベル100の制限がなんだ。そんなもの俺たちにとっては些細なことでしかないのだ。

そんな気持ちでいっぱいだった。

酒があまり得意じゃなかった俺は最愛の人と一夜を共にしていた。

これで一生一緒に暮らせるな。子供が出来たらどんな名前にしようか。男の子かな?それとも女の子かな?

普通のどこにでもいるカップルのような会話をしながらこの時間が永遠に続けばいいのにという思いを表に出して彼女を見つめる。

達成感でいっぱいだ。俺はこの瞬間のために生きてきたのだろうという気持ちが生き急ぐかのように彼女の体と自分の体を重ねる。

「愛してるよアリス」


朝目を覚ますと彼女は血だらけで倒れていた。

「おい!何があった!」

「神が...仕掛けてきたのよ...」

もう目には精気が見られずぐったりとした体は俺の元から崩れ落ちる。

「ユイトごめんね」

「死ぬな!何がごめんねだ!生きてくれよ頼むよ!俺はお前がいない世界なんて想像できない!」

「ユイト、こっちには来ちゃダメだよ」

「何言ってんだ!こっちってなんだよ!なあ!答えてくれよ!」


彼女の最後の笑顔が忘れられない。あんな笑顔なんて見たくなかった。もっと幸せそうにしていて欲しかった。

心の底から出た笑顔であって欲しかった。

そんなものはいらないんだよ。アリスだからまた俺と一緒にいてくれよ。




ドス黒いオーラが俺の体を包み込むように覆う。体が空気かのように軽い。

鑑定をしてみると悪神流がLv10になっていた。


「お前があいつの弟子か?」




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