波は揺れ、泡が弾け貝瀬を和らげる.

 心の中

 空っぽで

 ぽかぽかと

 甘いお菓子を摘んで

 僕が細い胸脚で遊ばせていた

 僕は肩に利欲の翼を生やし

 ゆらゆらと

 大地が燃え揺らぎ、螺旋を描く大波に

 一人見下していた

 片腕を失った後も

 笑みを切り裂く黒い装飾を付け

 無慈悲に飛び去った

 無形の時を

 重ねる赤光の持つ片腕由真を抱き

 歩む歩幅を揺らす僕は

 未だ死を知らず

 氷空に吸い込まれていく.

 

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